天為ネット2019年3月吟行 句会報

ネット句会吟行 第6回句会報

                  ボタン 3月28日(木)晴・曇 [吟行地] 浜離宮恩賜公園  佐藤博子 文責

日原傳先生をお迎えして

参加者 :内村恭子・岡崎志昴女・鈴木楓・室 明・中川手鞠・中村光男・野口日記
      西脇はま子・高橋紀美子・永井玲子・相沢恵美子
スタッフ:佐藤律子・佐藤博子    (五十音順)
句会  :投句・・5句 選句・・5句


 浜離宮恩賜公園 写真提供:『公益財団法人東京都公園協会』 
 (ホームページより)   https://www.tokyo-park.or.jp/teien/contents/index028.html 
 
浜離宮恩賜公園菜の花畑

第六回オフ句会は、1月より参加された会員、遠くニューヨークからの会員を含め総勢十四名。10時半に『中の御門橋』集合。簡単な自己紹介の後、日原傳先生に季語のヒントを頂いてビルに囲まれた浜離宮恩賜公園を巡りました。

  満開の菜の花、5分咲きの桜、三百年の松、潮入の池や鴨猟場の跡など江戸時代の風流を、たくさんの外国人ツァー客にまぎれ句帳片手に堪能致しました。吟行の時間はあっという間に過ぎ、13時集合の句会場・芳梅亭へ。机・座布団の配置を手際よく準備してくださった皆様と、宅配された花見弁当を食べ終え集中の20分。投句提出の緊張の一瞬です。選句の際に自分が詠めなかった景の句に出会うと、堅くなっていた頭もほぐれていくよう。楽しく勉強させて頂きました。

  各自選句披講のあと、いつものように先生のご選句と丁寧なご選評を頂きました。新規参加者二名の方も雰囲気に溶け込まれ、和やかなひと時の中、次回の吟行会を楽しみにお別れいたしました。 (佐藤博子 記)

今回も宅配弁当の受け取りや句会場設営等々、幹事二名の力不足を補って下さいまして誠に有り難うございました。 お陰さまにて親睦を兼ねた吟行句会を無事に終えることが出来ました。 深く感謝いたします。 また次回、ご一緒出来ますことを楽しみにしています。
    


   日原 傳 作品

   菜の花へ水上バスの汽笛かな
   桜染とは花の枝を煮出したる
   ごつごつの岩を離れず春の蠅
   花冷えやしんとありたる覗き穴
   松の花引堀の水静かなる

 
       参加者二句(順不同)
 

内村恭子
  養花天鴨場の池のひそやかに
  楓の芽少し濡らしてゐる日照雨

佐藤律子
   潮入の水の温みし浜離宮 
   ひそやかに内堀おほふ春落葉
 
  岡崎志昴女
  うららかや男結びのわらび縄
  十返(とかへ)りの花に浜風江戸香る
野口日記
   園帽子駆けて桜の揺るるかな
   見上ぐれば汐留の空花楓
 
  鈴木 楓
  さくら咲くビルのあはひの浜離宮
  お手植の十返(とかへ)りの花青き空
西脇はま子
   鴨塚に青木の花のこぼれつぐ
   木苺の花や汽笛の不意に鳴る
 
  室 明
  千万の花もて寡黙椨大樹  
  馬場跡を訪ぬる小径竹の秋
高橋紀美子
   鷹匠の建てし鴨塚楠若葉 
   春落葉踏んで愁ひのもるる音
 
  中川手鞠
  菜の花や西も東もビルの群(むれ)
  高楼の囲む水場の残り鴨
永井玲子
  蛇穴を出で赤赤と松の幹
  浜離宮巡りて同じ花の前 
 
  中村光男
  江戸の世も平成の世も犬ふぐり
  鷺苔や芝生の上の星の屑
相沢恵美子
  日永し汽笛尾を曳く浜離宮
  白木蓮嘴太き烏翔つ
 
  佐藤博子
  鷺苔のむらさき淡し浜御殿
  潮入の池の波紋や桜南風
               

以上
 


浜離宮恩賜公園 写真提供:『公益財団法人東京都公園協会』
(ホームページより) https://www.tokyo-park.or.jp/teien/contents/view028.html
浜離宮中島の御茶屋  
潮入の池
江戸時代から続く庭園では、都内唯一の海水の池。東京湾の水位の上下に従って水門を開閉し、池の水の出入りを調節しています。池にはボラをはじめ、セイゴ、ハゼ、ウナギなどの海水魚が棲んでいます。池の周囲に配置された岩や石にはベンケイガニなどがすみ、フジツボなどがついています。また、冬になると、キンクロハジロなどの渡り鳥もやってきます。


中島の御茶屋

潮入の池の岸と中島を結ぶ、お伝い橋。中島には「中島の御茶屋」があり、水の面に映える橋と御茶屋の姿は、風趣に富んでいます。かつては、眺めもよく、海のかなたに房総を望め、夕涼みや月見に使われたようです。現在の御茶屋は、昭和58年に再建され、抹茶を楽しむことができます。

松の御茶屋、燕の御茶屋、鷹の御茶屋
歴代の将軍たちは「御茶屋」で賓客と共に楽しみながら食事をしたり、調度品を鑑賞するなどして過ごすほか、鷹狩りの際の休憩場所としても使用していました。
これらの多くは焼失してしまいましたが、11代将軍家斉の時代に建てられた「松の御茶屋」は平成22年(2010年)、「燕の御茶屋」は平成27年(2015年)、「鷹の御茶屋」は平成30年(2018年)にそれぞれ史資料に基づき忠実に復元され、往時をしのばせる景色がよみがえりました。

三百年の松
六代将軍家宣が庭園を大改修したとき、その偉業をたたえて植えられたといわれるクロマツです。太い枝が低く張り出し、堂々たる姿を誇っています。

鴨場
庚申堂鴨場と新銭座鴨場の二つがあります。築造は、前者が1778年、後者が1791年という古いもの。鴨場は池と樹林を3mほどの土手で囲い、土手の周囲は常緑樹や竹笹を植え、鴨が安心して休息できるように外部と遮断しました。ここでは池に幾筋かの引堀(細い堀)を設け、小のぞきから鴨の様子をうかがいながら、稗・粟などのエサとおとりのアヒルで引掘におびきよせ、機をみて土手の陰から江戸時代は鷹を使用して、離宮時代は叉手網(さであみ)ですくいとるという猟を行っていました。



芳梅亭(ほうばいてい) :写真提供『公益財団法人東京都公園協会』
 
       (ホームページより)  https://www.tokyo-park.or.jp/teien/contents/facilities028.html          
芳梅亭  

離宮時代の官舎を修復した貴重な建物です。周囲を塀が囲んでおり、句会・勉強会・お茶会や園内散策のご休憩所として最適です。


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