天為ネット句会報2021年11月

 

天為インターネット句会2021年11月分選句結果

 ※特選句、入選句内の順番は互選点、句稿番号の順。
  また互選句は句稿番号順に並べております。
 ※一部インターネットで表示できる文字に置き換えております。ご了承ください。

   <日原 傳編集顧問選 特選句>

白露や笊に盛らるる京野菜              合田憲史

京都特産の伝統野菜。京みず菜、壬生菜、九条ねぎ、えびいも、聖護院大根、聖護院かぶ、堀川ごぼう、金時にんじん等々、全国でもよく知られている。白露の降りるころ、旬を迎えたものが笊に盛られて供されるのであろう。形や色彩の多様さを愛でつつ、京都の長い歴史にも思いは及ぶ(傳)。

笊に盛られた新鮮な京野菜に白露が色どりを添える。爽やかな京都の秋の朝の景を鮮やかに捉えている。(博行)

朝早くであろう。笊に盛られた京野菜に白露が付いているのであろう。作者の感動が伝わって来る。(武夫)

正治・旭

老人に添ふ老犬や秋日和               中川手鞠

老犬を飼う老人。天気のよい秋の日に散歩に出て、公園のベンチなどで憩うている姿を思った。老人が老犬をいたわり、老犬の方も老人をいたわっているような微笑ましい老人と老犬との交流が想像されてくる(傳)。

作者の優しい眼差しに癒されました。(澄江)

似合いのカップルですね近所の公園で良く見かける光景です、季語「秋日和」が効いています、(貞郎)

  <日原 傳編集顧問選 入選句>

錦秋やここも行基の開きし湯             内村恭子

奈良から遠い地の伝承の湯であろうか。錦秋の湯で行基の大仏勧進の旅に思いを馳せる歴史的ロマン。(ゆかり)

「ここも」から、日本全国を歩かれたと伝えられる行基上人が偲ばれます。(春野)

行基伝説ですね(順一)

立哉・玲奈・礼子

朝寒や湯屋始まりの時太鼓              合田憲史

確か道後温泉では太鼓の音で湯屋の始まりを告げていたな。あの響き。あんな場所がほかにもあるのかな。(志昴女)

早朝のまだ明けきれぬ時刻に決まって一打の太鼓の音その伝統がなつかしい。(伊葉)

道後温泉の朝六時の時太鼓が晴れ渡った空に響く。晩秋の朝風呂は格別かと。羨ましい限り。(博行)

待ってました!こんな日は早くお湯に浸かって温まりたい!(手鞠)

紀美子・史子

朝寒や夜勤ナースのペンライト            永井玲子

ペンライトが効いていますね。お疲れさまという気持ちが伝わってくる。(光男)

夜勤明けも気を抜くことなく緊張感を持って働いている姿が浮かぶ。「朝寒や」の季語と切れ字がよく働いている。(桂一)

入院の経験がある身には、手に取るように分かります。(てつお)

病院の独特の空気の中、熟練された夜勤ナースの方の様子、診ていただいておられる方の緊迫感を思います。(美穂)

一晩見守ってくれたナースに感謝!(憲史)

正治

綿虫とくぐる城門のみの城              染葉三枝子

こういう城跡を綿虫と訪れている作者の想いが伝わるようです。(典子)

栄枯盛衰を物語る「城門」。季語が効いていると思います。(明)

紀美子・旭・はま子

尖塔の金のミカエル秋日燦              石川由紀子

有名なモンサンミッセルの尖塔でしょう。秋日燦がよかった。(佳久子)

モンサンミッシェルか。長剣を振りかざした大天使ミカエルが秋日を受けてさらに神々しい。(ゆかり)

ドラゴンをうち伏せたミカエル。金は秋の色ですね。(博子)

はま子・久丹子

猫マリアンヌかくしゃくとして冬を待つ        小髙久丹子

元気なおばあちゃん猫、心待ちにしているのは暖炉の火だろうか、炬燵なのだろうか、想像は尽きません(律子)

マリアンヌという名前のおばあちゃん猫。どんな猫ちゃんでしょう。会ってみたい!(手鞠)

マリアンヌと飼い主の温かい距離感、りんとした猫ちゃんに、私まで元気を頂きました。(博子)

「猫マリアンヌ」が「聖マリアンヌ」に読めてしまって、そのマリアンヌ様の堂々とした様子が見えてきます。(匠子)

冬桜ほつほつ空に紛れをり              小栗百り子

ほつほつ空に紛れているのは正に冬桜の咲き方ですね。(相・恵美子)

正治・万記子

留魂録萩に伝えて空高し               浅井貞郎

那智子・春野

時雨るるやふくつと並ぶ京野菜            河野伊葉

京都の北山に時雨を見るころ 美味しさの際立つ京野菜をリヤカーで市中を売り歩く女性の姿。今も健在でしょうか(温子)

潮風に揺るる糸瓜や南郷庵              井上澄江

潮風とあるので、南郷庵は小豆島の尾崎放哉の南郷庵であろう。潮風に揺るるのは糸瓜だけではないように思われる。(武夫)

行秋やダムに流木静かなる              土屋香誉子

情景がよく見えます(百り子)

梟は鼠番なり林檎園                 室 明

神の留守巫女が奏づる二弦琴             相沢恵美子

ジンフィズとショーソン詩曲秋深し          森山ユリ子

海原の皓き鬣神渡し                 早川恵美子

樫鳥の直と静まる杉林                榑林匠子


 <互 選 句>

月照らす明の時代の太湖石              中川手鞠

芳彦

秋声や最終バスの仄明かり              野口日記

正明

羽衣の天女消えたり猿茸               明隅礼子

猿茸に天女をもってこられそこに伝説のようなもののイメージができあがったところに感服です。(伊葉)

稲刈りて光の束を積みにけり             岡部博行

収穫の喜びが伝わってきます。光をいっぱい浴びて丹精を込めて育てられた稲・・(美穂)

実りの収穫の喜びはまさに光の束となる。質実のひかり。(伊葉)

光の束がとても素晴らしいと思いました。心を込めて育て収穫した稲への思いと、秋の日ざしを受けて輝いている稲束が見えてきました。(澄江)

丹精込めて育てた米を収穫するときの喜び。「光の束」に込められています。(てつお)

史子・万記子・悦子・礼子・尚

太陽神へコカ三葉と玉黍と              佐藤博子

成る程!アンデスが目に浮かびます(早・恵美子)

夜寒し呪文のような読み聞かせ            児島春野

「呪文のような」に読み聞かせする本の内容も示唆されていて、興味を引く。{呪文のような読み聞かせ」というフレーズにははじめて遇った。(桂一)

一瞬、我が子に読み聞かせしている画が浮かびました。実感ですね。本当に懐かしいです。(道代)

露の囲の真中に構へ女郎蜘蛛             阿部 旭

三枝子・紀美子

黄落やいよいよ黒き地獄門              中村光男

紀美子・三枝子・礼子

一行詩トルストイめく夜の秋             泰山木

立哉

千羽鶴翼をひろぐ秋の風               森野美穂

千羽鶴が秋の風に飛び立つように、折った人の願いも叶うようです。(典子)

物差しを当てて紙切る月の客             明隅礼子

切り口と同じく紙切る音も不揃いに聞こえてくる。季語から即興の句会の短冊かと。(ゆかり)

匠子

八雲の忌生まれ変はりの話など            土屋 尚

八雲の怪談を思い出しゾクッ。『話しなど』で止めてあるのがまだまだ続きそうでなお怖い(律子)

生まれ変わる話などするのが、八雲の忌にぴったり。(典子)

恭子・三枝子・日記

番傘と下駄揃へあり神迎へ              永井玲子

なんて優しい方!!風情のある神様の迎え方ですね(早・恵美子)

立哉・立哉・恭子・秀平

秋澄むや水琴窟の音溢れ               小栗百り子

秋らしい透明感のある季語がピッタリ(智子)

鰻屋の賑はふ十夜戻りかな              髙橋紀美子

十夜の法要で心穏やかになり美味しく鰻を食べている人々の様子が見えてきます。(相・恵美子)

勢津子

夕風の星の明りや朗人星               妹尾茂喜

悦子・楓

天高し紙ヒコーキは右まはり             金子正治

私の4歳の孫も紙飛行機を飛ばすのが上手になってきました。(匠子)

青天へ放った紙ヒコーキは、作者の思いを誰かに届けたいのでしょうか?(憲史)

霜降や書棚のすみの仏和辞典             髙橋紀美子

意外としょっちゅう使って居た辞典なのかもしれません(順一)

ひとり居の島人多し木守柿              原 道代

島の様子が伝わりました。木守柿もぽつんと。(佳久子)

ひとり居の老人と木守柿が、呼応しているように感じます。(ユリ子)

”木守柿”の季語が効いていると思いました。(憲史)

孝子

星飛ぶや島に無数の噴気孔              芥 ゆかり

西之島でもあろうか、日本列島は火山列島であり、無数の噴気孔のある島も少なくはない。意外性のある季語を用い、作者の願いも伝わってくる。(武夫)

今年も噴火で新島が出来た。また消えた。有為転変。(志昴女)

立哉

運動会欲しかったのは金メダル            榑林匠子

運動会の一等賞は楽しくも悔しくもある思い出です(智子)

アクリルのパーティションや冬隣           山根眞五

那智子

秋の蝶さらしな升麻の白き穂に            土屋香誉子

夏江・久丹子

生あるもの立ちどまりたり水の秋           佐藤律子

正明

月光の上海庭園喜鴉(かちがらす)          斎川玲奈

朗人先生がお好きだったカササギは佐賀平野にもいるそうですね。先生も中国で何度もご覧になって楽しまれたことでしょう。(明)

紅葉且つ散る知覧飛行場跡              長濱武夫

私の叔父は学徒出陣で出征し硫黄島で散りました(眞五)

楓・夏江・那智子

秋風が石割る鑿の音攫ふ               原 豊

香誉子

歩かせてみたき二股大根かな             児島春野

滑稽味があって面白い。(光男)

大根足の私は笑えます(みつ子)

つい笑い出したくなるような一句。ほっと癒やされる。(桂一)

大根とか人参とか、ヒトの体を彷彿とさせる姿に時々で会います。歩くかな、、、これも。(志昴女)

視点と発想が面白くて、思わず頬が緩みました。(佳久子)

秀平

逝くならば猫の如くに秋の星             野口日記

出来ることなら静かに、そっと逝きたいものです。(てつお)

秀平

小夜時雨言葉少なに介護して             今井温子

親であれ配偶者であれ、高齢者の介抱や世話は誰もが経験する。介護者の手は相手の痛い部位に添えられる。夜の窓を時雨がたたく。(茂喜)

「言葉少なに」に深い思いを感じます。(百り子)

”言葉少なに” に介護する人される人の思いを感じます(智子)

玲奈・孝子・ 楓・香誉子

はかま着て縄文よりのくぬぎの実           山口眞登美

悦子

銀ブラの歩行者天国街小春              鈴木 楓

歩行者天国はやはり銀座ですね!(ユリ子)

平城宮跡星の数ほど赤とんぼ             今井温子

数多の赤蜻蛉を目前にして、輝かしい平安文化の世界に思いを馳せる作者。(明)

久丹子

古き世の癩(らい)洗ふ井戸落葉散る          松山芳彦

眞登美

首塚は身代わりの御子露時雨             牧野桂一

身代わりの御子であるのが哀れさを増し、それに相応しい季題と思います。(春野)

眞登美

手さぐりの余生の道の冬の月             齋藤みつ子

月が道を照らしているような、余生と冬が呼応します(夏江)

余生とは皆喜びと一抹の不安 ご健吟を祈ります (温子)

心に沁みました。いつでも優しく空にある、月の明かりを感じます。(美穂)

寂しさや不安の募りやすい冬夜。優しい月の明かりに癒やされているよう。(博子)

海透けてオリーブの実の光る朝            内村恭子

海が透けるようでオリーブの実が光るという景は瀬戸内だろうか、と想像しました。朝がいいです(律子)

桂離宮穂垣笹垣照紅葉                鈴木 楓

玲奈

秋高し地産地消の旬野菜               木村史子

勢津子

秋の日や待合室に知人なき              上脇立哉

医院の待合室であろうかと思います。診察を待つ時間の長きこと。(孝雄)

烏瓜たましひのごと藪なかに             熊谷佳久子

烏瓜の赤い実のゆらめきには、異次元を感じさせるものがありますね。とくに夕暮れどき。(ユリ子)

勢津子

白鳥の渡る今朝回診の窓               中田秀平

窓の中に生命力や未来を感じます。(百り子)

富良野より届く南瓜の深緑              阿部 旭

NYの南瓜は水っぽい。富良野の南瓜の深緑。ホクホク甘そう!(手鞠)

自販機のあたたかの文字冬近し            合田智子

日常のなかにある詩。なぜかあたたかの文字がいとおしくなります。(万記子)

日常の一寸した変化に季節の移り変わりを感じ取る。俳句の楽しみここにあり。(博行)

恭子・尚

日に透かす葉や色鳥もゐるらしく           山口眞登美

日記

銀河濃し明大マンドリン倶楽部            西脇はま子

古賀政男さんのメロディーが綺羅星のごとく(眞五)

古賀メロディーは浪漫的な抒情性により100年間の支持を得た。曲と歌声の数々はかの銀河のようだ。(茂喜)

鳥渡るソーラー時計の秒針音             相沢恵美子

秋ゆうやけ平山郁夫の金の色             荒木那智子

平山郁夫の「秋ゆうやけ」の日本画を見られて、その絵に金が多く使われている事を見付けた。「秋夕焼け」と金色がマチールが合っていた。(芳彦)

玻璃皿の頃合いを待つラフランス           荒川勢津子

香りが出ていかにも美味しそうです。ご相伴させて頂きたいです(早・恵美子)

日記

団栗を拾ふ心に住む土偶               竹田正明

縄文時代は今まで思われていたより長かったようです(眞五)

穴惑ひ道を違へて現るる               佐藤律子

滑稽味があって面白い。(光男)

秋の灯やひと言過ぎし日はひとり           てつお

秋の灯で、ひと言言い過ぎた日のひとり淋しい気持が伝わってきます。(眞登美)

おだやかな人々の顔菊花展              嶋田夏江

菊花展を観ている人々の様子に焦点を当てたところがよいです。(相・恵美子)

レコードのたすきは古りて深む秋           河野伊葉

しみじみと人生を想う深い余韻を感じました。(澄江)

道代

温もりは友との握手冬に入る             武井悦子

温もりは友との握手であるとしたところがよい。然も「冬に入る」と季語を置いたところ、平凡であるが暖かさが見えて来る。(芳彦)

水澄むやだあれも居ない河童淵            熊谷佳久子

孝子

秋桜ひとりぼつちのいぢめつ子            森野美穂

「秋桜」「ひとりぼつち」「いぢめっ子」をつないだ句。なぜか読み手は豊かな詩情に満たされる。(孝雄)

鶺鴒をまねて幼子二歩三歩              井上澄江

幼子は鶺鴒のように忙しく歩けないだろうが、「まねて」に幼子のあどけなさが集約されている。(孝雄)

今日一と日生きて明日は秋の暮            岡部博行

月日が早く流れることが身にしみます(みつ子)

正明

チョコレートの歯に来る硬さ冬に入る         中村光男

年と友に歯が弱ってきますので季語「冬に入る」が身にしみます、(貞郎)

本棚に同じ本あり秋の暮               上脇立哉

私もよくやります。でも気に入っている本ですね(みつ子)

友人を訪ねて本棚を見ると、自分が読んでいる本と同じものが見つかった。友とは同じ感慨で結ばれている、秋の暮である。(茂喜)

温子・はま子

山茶花を散らす雀のかくれんぼ            石川由紀子

雀の遊戯。散る花(順一)

香誉子・道代

風そよぐかき分け進む芒原              嶋田夏江

山頭火の(分け入っても分け入っても青い山)が思い出されます、良い句ですね、(貞郎)

宅配の荷解きもどかし林檎の香            片山孝子

もどかしく思った分、開けたときの幸せ感もひとしおかと・・。(博子)
(博子)

史子

以上

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