フランス通信

*春に ( AU PRINTEMPS )

  毎年復活祭(Pâques)(Easter)(今年は3月27日でした)が過ぎると、本格的な春を感じます。今冬は暖冬と云われ、小雪がちらつくだけで、積もることなく暖かな陽射しを楽しんでいると、突然に厚い黒雲がやって来て、辺りが暗くなったと思えば、冷たく強い風が吹き荒れ、霰や雹が斜めに音を立てて降り、変化の激しい天気となって、いよいよ春の到来と感じます。

 日本の各地からは桜の花便り、こちらも黄色の連翹、黄水仙、淡い色のマグノリアに続いて桜ん坊の実る白い花ソー公園のお花見 の桜、そして大きくて色の濃い八重桜が派手に咲いて、近くのソー公園(Parc de Sceaux)では同窓会や日本人会等が恒例のお花見を催しています。

 週刊誌l'Expressの最新号でもソーの特集があり「254本の桜が咲く頃になると"日本人達が名所巡礼(花見)にやって来る"」と(Au printemps, la communauté nipponne s'yrend en pèlerinage.)写真入で紹介しています。

この頃は日本人の楽しそうなお花見を真似てか、フランス人達も桜の木の下でピクニック、ちょっと気になるお弁当の中身を覗きましたら、バゲット・パンは切らずに長いまま、バターは紙包みのまま、サラミ・ソーセージもゴロンとそのまま、トマトは洗っただけで丸のまま、苺は市場で買った紙袋のまま・・・と、"まま"づくし、お皿やフォーク、ナイフも普段使いのまま持ち込んで、赤い毛氈ならぬ使い古しの毛布を敷いて「花より団子」、賑やかに楽しんでいます。

 そう云っている間にもマロニエの枝先に若葉が開いて、あの大きな葉が、どうしてこんなに早く伸びるのか、夜間に耳を澄ませばバリバリと音が聞こえるのではないかと思う程の力強さ、その若葉の蔭から神楽の鈴に似た花の蕾が見られるのも間もなくです。朝市には白くて太い白アスパラガスや色鮮やかな苺が並んでいます。

ところが最近になって顔や身体のあちらこちら、眼や喉が痒く、涙や鼻水が止らず、クシャミが絶えず、こんなことは今迄に経験したことが無かったので医者に診て貰いましたら「貴方の中のアレルギーのバケツが一杯になったのですよ。」とのこと、そうなのでしょうか。今迄「花粉症」(l'allergie aux pollens)の人を気の毒に思っていた自分が・・・どうやら春が原因しているようです。

*スペクタクル<シャガール"真夏の夜の夢">( Spectacle " SONGES D' UNE NUIT D' ETE " de CHAGALL )

  南仏アルルから約15㎞、アヴィニョンから約25㎞、葡萄やオリーヴの畑の中を行くと、やがて奇岩、巨石むき出しの台地が見えてきます。プロヴァンス地方の景勝地「レ・ボー・ド・プロヴァンス(Les-Baux-de-Provence)」です。

 村に入ると旧い街並みが頂上の城砦まで続き、小さな道が何時も賑わっていますが、村の入り口からひと山廻り込んだ所に、19世紀にアルミニウムや鉄を含んだ鉱石が発見され、村の名前をとって「ボーキサイト」(les Bauxite)と呼ばれ、当時のアルミ産業に大いに貢献した採石場があります。

 そのままになっていた廃坑と広大な採石場の美しさに魅せられた写真家のアルベール・プレシィ(Albert Plecy (1914~ 1977)) が、採石により出来た空間の利用を考え、これを舞台として数々の催事を企画、開催して好評となり、「イメージ大聖堂」(la Cathédrale d' Images) と名付けました。

 その後2006年にはセザンヌの没後100年の記念に「セザンヌ・カラー」(Couleurs Cézanne)と題した光と色と音の大スペクタクルを開催しました。

 今回はマルク・シャガール(Marc Chagall(1887-1985))の作品「真夏の夜の夢」(1939)から名付けたテーマで、石切り場の中5000㎡もの天井から壁、地面に至るまで、シャガールの代表作の数々を、投影による光と色の映像と、音響による格調高い音のハーモニーで展開、見ている自分が、まるで絵画の中に浮き上がるような不思議な錯覚すら覚える感動的なスペクタクルです。2017年1月8日迄、「光の採石場」(Carrières de Lumières, 13520 Les-Baux-de-rovence)にて・・・
  -光の採石場 ホームページ-  www.carrieres-lumieres.com

*2016年度バゲット・グランプリ ( GRAND PRIX DE LA BAGUETTE DE PARIS 2016 )

 1994年に始まったバゲット・パンのコンクール、第22回目の今回は、腕に自信のあるパリ市内・郊外の約1220軒の手作りのパン屋さんから選抜、155人のパン職人が参加して行なわれました。パンの長さ55-65cm、重さ250-300g、焼き具合、手触り、色、形、味、香り等を15人の審査員が5時間に亘って厳しく評価、採点した結果、48, rue Madame, Paris 6e のパン屋 " La Parisienne "のミカエル・レデレ(Mickaël Reydellet)さん(32才)がグランプリに輝きました。

 ミカエルさんは慣例に従い、今後1年間、エリゼ宮の大統領府へ毎日バゲットを納める大役を果たします。

*旅券の更新 ( LE RENOUVELLEMENT DE PASSEPORT )

  小信121-123号の3回に亘りフランスでの滞在許可証更新の実際を自身の経験を例に記述しましたが、日本の旅券も有効期限が近付きましたので、更新手続きをしました。

 まず在フランス日本国大使館の領事部へ出掛けて問い合わせました。大使館入り口でのセキュリティ・チェックは極めて普通、受付で旅券を提示して用件を告げ、中に入って窓口へ。並んで長時間待つことも無く、日本語で親切な応対・・・滞在許可証更新の時のフランスの警察署とは大違いです。

 有効期限の1年前から手続き可能、6ヶ月以内に撮影の縦45㎜x横35㎜の写真1葉を用意、「旅券発給申請書・1枚」を記入するように、現在有効な旅券を持ち、記載事項に変更が無ければ戸籍の提出は省略、申請の際には旅券と滞在許可証を持って来る様に、手数料は、10年有効の旅券の場合は114ユーロを現金払い、その他受付時間も記された要綱を丁寧に説明して渡して呉れました。

 申請書の内容は、氏名(フリガナ、ローマ字)、生年月日・年齢、本籍、現在の旅券番号、現住所、自宅電話番号、携帯電話番号、連絡先電話番号、日本国内の緊急連絡先住所・氏名・続柄、電話番号、刑罰の有無、所持人自署、申請者署名、で、黒インク、黒ボールペンで記入、となっています。早速用意して再度出掛けました。

 窓口で記入済みの申請書、写真1葉、現在の旅券を提出、滞在許可証を提示しました。一通り内容をチェックして受付、1週間後に新しい旅券が出来上がるので、その日以降に現金114ユーロを用意して取りに来るようにとのことでしたので、10日後に取りに行き無事新しい旅券を手にしました。交付手数料が滞在許可証の場合は同じ10年有効のもので260ユーロでしたし、何よりも毎回朝早くから長蛇の列に並ばなくとも済み、日本語で事が済む、この有り難さをしみじみ感じました。

 かくして日本の旅券も更新出来ましたので、これから10年間は安泰というものです。

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2016年4月12日 Saint Jules 日の出07時05分・日の入20時38分       パリ朝夕7℃・日中15℃曇天、ニース11/18℃晴天、ストラスブール7/19℃曇天
*パリ・ヴェルサイユ地区の学校は4月17日から5月1日迄春休みです。      「マロニエの芽も膨らみて風光る」(安芸寛) 皆様どうぞお元気で

天為俳句会
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