フランス通信

 

*銀杏( LE GINKGO ) 

嘗ては珍しい木としてブローニュの森、モンソー公園、パリ国際大学都市などに1、2本しか無かったイチョウ(le ginkgo :ジャンコと発音するらしい)の木が、最近では公害に強い木として、害虫にやられたマロニエの木に替えて、パリでもモンスリー公園横の並木道や、郊外のあちこちに植えられ、懐かしいような独特の黄葉(le jaunissement des feuilles)が秋を飾っています。しかし枝は剪定(l’élagage)せずに伸びっぱなし、黄葉しなければイチョウとは気が付かないかも知れません。黄葉の銀杏 我が家の近くカシャン(Cachan)に残るマリー・ド・メディシス(Marie de Médicis(1573-1642)フランス王アンリ4世妃・ルイ13世の母)がリュクサンブール宮殿へ水を引いた水道橋の近くの並木道は、特に見事な黄葉を見せ、銀杏の実も沢山落ちていますが、銀杏の実が美味しいとは誰も知らず、匂いが臭いせいか、拾う人は見かけません。

イチョウばかりではなく、杉や松など深緑色の針葉樹を除いて、どの木も葉が黄色く茶色になって散り、黒々と枝ばかりの冬景色になってきました。

*クリスマス・ツリー ( LE SAPIN DE NOEL )

デパートのクリスマス・ツリーが中央ホールに煌めき、建物も明るく照明され、ショーウインドーは工夫を凝らした玩具の楽園、日曜営業も始まって、賑やかにクリスマス・セールに入っています。名物のシャンゼリゼ大通り2,2kmの並木を飾るイリュミネーションも11月21日に点灯、飾りや地方名産を売る山小屋風の店180軒(les petits chalets)が並ぶクリスマス・ヴィレッジ(le village de Noël)も既に店開き、今やシンボルとなったコンコルド広場の高さ70mの大観覧車(la grande roue)も立ちました。

1643年以来続くリヨンの伝統的な「光の祭り」(la Fête des lumières de Lyon)も、昨年はセキュリティの問題から(pour raisons de sécurité)中止となりましたが、今年は元通り復活、12月8日から10日迄、ベルクール広場を中心にフルヴィエール迄の街々を華やかに飾ります。

世界的に知られるクリスマス・ツリーの里、アルザスのストラスブールでは、大聖堂前の広場を中心に、グーテンベルグ広場など各所にクリスマス市(le marché de Noël)が開かれて既に賑わいを見せ、クレベール広場の大きなクリスマス・ツリーがサンルイのクリスタルの玉を飾って、無事で平和なクリスマスの訪れを願っているかのように見えます。

*「パリスコープ」誌消える( LA DISPARITION DE PARISCOPE )

パリとパリ郊外の話題から、演劇、映画、展覧会・展示会、音楽会、各種の催事、等々を漏らすことなく毎週1回詳しく正確に情報を提供し案内して1965年10月19日以来、40、50セントで親しまれ、市民に欠かせない存在であった小さな週刊誌「パリスコープ」が、51周年の記念日を迎えて間もなく消えてしまいました。

私もキオスクへ買いに行き、いつもの棚に並べられていないので、連休前で売れてしまったのか、しかし・・・と一寸不思議に思いながら帰って来たのですが、友人からの知らせで廃刊を知りました。同類誌で「オフィシャル・デ・スペクタークル」誌があるのですが、こうなると、これも何時まで続くのか不安になってきました。

*フランス人が好む名前 ( LES PRENOMS PREFERES DES FRANCAIS )

最近発行された官報によりますと、今年生まれた赤ちゃんにつけられた名前は、女の子のトップが昨年同様に「ルイーズ(Louise)」それから「ジャド(Jade)」、「エマ(Emma)」・・・と続いています。男の子では「ガブリエル(Gabriel)」、「ジュル(Jules)」、そして「ラファエル(Raphaël)」の順だそうです。

両親など名付け親の好みは、音の柔らかな優しい名前で、母音で終わるはっきりしたものも少なくないそうです。参考迄にトップ10を掲げますと、女子は「ルイーズ(Louise)」、「ジャド(Jade)」、「エマ(Emma)」、「クロエ(Chloé)」、「アリス(Alice)」、「イネス(Inès)」、「レア(Lea)」、「マノン(Manon)」、「リナ(Lina)」、「ミラ(Mila)」、男子は「ガブリエル(Gabriel)」、「ジュル(Jules)」、「ラファエル(Raphaël)」、「レオ(Léo)」、「アダム(Adam)」、「ルカ(Lucas)」、「ルイ(Louis)」、「リアム(Liam)」、「エタン(Ethan)」、「ユーゴ(Hugo)」となっています。

伝統的な名前の「マリー(Marie)」や「ジャン(Jean)」、「ミシェル(Michel)」なども相変わらず人気があるそうです。 最近の日本でも好みの漢字を合わせて、こう読む、読ませるといった傾向があるようですが、先日男の子の名前で「空」と書いて「スカイ」と読ませるという或る日本人に会い、一寸驚きました。そして、その昔“ゴダイゴ”というグループが唄った「ビューティフル・ネーム」の歌詞を思い出しました:「名前 それは燃える命 ひとつの地球に 一人ずつひとつ Every child has a beautiful name, beautiful name, beautiful name  呼び掛けよう名前を beautiful name, beautiful name 」・・・・・・

*「ピカソ・ジャコメティ」展 ( Expo. « PICASSO – GIACOMETTI » )

キュービズムの大家でスペイン人のピカソ(1881-1973)と、同時代に活躍したスイスの彫刻家ジャコメティ(1901-1966)が、パリのピエール・コル・ギャラリーにて開かれたジャコメティの初めての展覧会に最初に訪れたのがピカソであったことから親しく行き来するようになり、二人はよく政治について、又「真実」を如何に表現すべきかを話し合い、お互い大いに影響し合って活躍したフランスにての友情ある約20年の間の軌跡を、200点余りの作品を展示して辿る展覧会です。

年齢的にはジャコメティがピカソの後を追って、その影響を表し、例えばピカソが日々を共にした女性“ドラマール”の肖像を描けば(1937)、その後ジャコメティが夫人をモデルに“気高い女”(1958)を作り上げ、又ピカソが“紅い椅子に座る裸婦”(1929)を描けば、ジャコメティが“喉を掻き切る女”(1933)を作る・・・といった具合です。

パリのピカソ美術館 (Musée Picasso : Hôtel Salé, 5,rue de Thorigny, Paris 3e, メトロChemin Vert 又は Saint Paul下車)2017年2月5日迄 月曜日を除く毎日10時30から18時00迄 入場料12,50€(18才未満無料)

*私の東京滞在 ( MON SEJOUR A TOKYO )

祝い事が続いたのと、歯の治療の為に3年振りに東京へ行き、2週間程滞在しました。沢山の友人・知人に会うことが出来、懐かしく嬉しい毎日でした。電車が相互乗り入れをして縦横に走り、西武線の駅に東急の車両がやって来たり、面白がりながら、路線図を見ながら、「パスモ」を使って行き来しました。しかし便利はよいのですが、駅の混雑振り、同じ駅名でも乗り換えには右に左に上がったり下りたり・・・で、少々くたびれました。

“コンビニ”、一応何でも揃っていて、しかもいつ行っても開いていて便利でした。魚もこちらには無い秋刀魚、鰤、ほっけ・・・美味しく食べました。あっという間の2週間、やや強い地震に追いかけられるように、強い向かい風に安全速度を保つ飛行機で帰ってきました。

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2016年11月28日 Saint Jacques de Marche :日の出08時18分・日の入16時57分       パリ朝夕3℃/日中7℃晴天、ニース9/17℃曇天、ストラスブール0/6℃曇天
      「 懐かしき焼き芋楽し落葉焚き 」(安芸寛) 皆様どうぞお元気で 

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