フランス通信

 

*新年 ( LE NOUVEL AN ) 

皆様、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。

私が住むパリの郊外は、気温もパリより2,3度低く、大晦日に突然の寒波襲来、冬木朝夕は零下7℃位まで下がり、雪も降らないのに木々は白く凍って、日中でも零下3℃の厳しい年明けとなりました。

パリの街はご存知の通りの警戒態勢が布かれる中、大晦日の宴の後は、どの店も閉まり、LED電飾ばかりが華々しく眩しい、何か淋しい通りに、大晦日の晩から元日の昼まで終夜運転で無料サービスのメトロやバスに、正月だから何かあるのではないかと期待して繰り出した観光客も手持無沙汰で、偶に開いているカフェばかりが賑わっている、そんな正月の情景が見られました。

*賀状 ( LA CARTE DE VOEUX ) 

今年も沢山の友人・知人から賀状が郵送され、嬉しく受け取りました。和紙で絵図も素敵なカード、微笑ましい家族の写真入りのカード、懐かしいお年玉付き葉書、そして写真や絵を器用にアレンジしたメールによる賀状・・・有難うございます。しかし中には賀詞も名前・住所も全てが印刷されて、読解不可能な署名のみ手書きのもの、「お元気ですか」の言葉も無く、形式ばかりで無意味な、嬉しくもない賀状も相変わらずです。

お送り下さった方には申し訳ありませんが、一言の近況でも記して頂きたかった、と残念に思います。

*今年の祝祭日( LES JOURS FERIES EN 2017 ) 

1年に11日あるフランスの祝祭日の中、旧年中はクリスマスの12月25日の様に日曜日と重なる日が3日もあり、日本の様な振替休日の制度が無いものですから「パリっ子の嘆き」(la voix plaintive des Parisiens)が聞かれました。

今年は1月元日(Jour de l’An)が日曜日でしたが、4月17日“復活祭の月曜日”(Lundi de Pâques),5月1日“メーデー”(Fête du Travail)は月曜日、5月8日“戦勝記念日”(Victoire1945)も月曜日、5月25日“昇天祭”(Ascension)は木曜日、6月5日“聖霊降臨祭の月曜日”(Lundi de Pentecôte) 、7月14日“革命記念日”(le Quatorze Juillet, Fête Nationale)は金曜日、8月15日“聖母被昇天祭”(Assomption)が火曜日、11月1日“諸聖人の祝日”(Toussaint)は水曜日、11月11日“休戦記念日”(Armistice 1918)は土曜日、そして“クリスマス”12月25日は月曜日。因みに2018年の元日も月曜日に当たり、“連休も望める明るい年”と云われています。

この3日から学期が始まった学校の今年の休みについては、地域により多少異なりますが、パリ・ヴェルサイユ地区については、2月5日から2月19日迄が“2月の休み”(Vacances de Février)、4月2日から4月17日迄は“復活祭の休み”(Vacances de Pâques)、“夏休み”(Vacances d’éré)は全国一斉に7月9日から9月3日迄、10月22日から11月5日迄“諸聖人の祝日の休み”(Vacances de Toussaint)、そして12月24日から2週間は“クリスマスの休み、冬休み” (Vacances de Noël,vacances d’hiver)となっています。

*元日生まれの赤ちゃん( LES NOUVEAU-NES DU JOUR DE L’AN ) 

新年を迎えるなり生まれる赤ちゃんが毎年話題になりますが、今年はパリ郊外の病院で0時40秒に生まれた女の子でクロエ(Chloé)と名付けられ、祝福されました。

しかし一方ではこんな話題もありました。それは、間もなく新年という大晦日の23時50分に生まれた男の赤ちゃんに産科の医師が「僅かの差ですから、出生記録は目出度いので1月1日としましょうか?」しかしお父さんのジャン(Jean)さんは「いえ、12月31日と記入してください。これからの息子の人生を嘘から始めさせたくないので・・・。」と硬く断ったそうです。新年に初感動を覚えたお話です。

*ツール・ド・フランス( LA TOUR DE FRANCE ) 

もう100年以上も前、1903年に始まった自転車の大ロード・レース、世界の選手たちを集めて今年はその第104回。

7月1日にドイツのデュッセルドルフをスタートします。ベルギーとルクセンブルグを経由して7月4日にフランス入り、ミネラル・ウオーターのヴィッテル、ワインのニュイ・サン・ジョルジュ、スイス国境近くのシャンベリィ、ボルドー・ワインのベルジュラック、聖地ルルドに近いポーからピレネー山脈に入り、7月14日の独立記念日にはサン・ジロンからフォアへ峠越え、エアバスのブラニャックを抜けてからはロデスを経由してアルプス山脈へ向かい、セール・シュヴァリエ、ブリアンソン、と山越えをしてから、ノストラ・ダムスのサロン・ド・プロヴァンスへ、そして7月22日、地中海へ出てマルセイユへ。

此処では2024年のオリンピック誘致をアピールする為に旧港や山上のノートル・ダム大聖堂等、変化に富んだ市内23㎞を巡ります。その後飛行機で一気にパリ近郊のモンジュロンへ飛び、翌7月23日愈々パリへ、全行程3516㎞を争います。パリに入るとルーヴル宮から凱旋門のシャンゼリゼ大通りを上り下り8周してゴールしますが、今回は2024年のオリンピック大会のパリ誘致の為のアクションとして、シャンゼリゼへ入る前にエッフェル塔と同い年のガラスと鉄の殿堂グラン・パレの中をまず通過するという極めて稀な企画が為されています。

9月13日にリマで開かれるIOC(国際オリンピック委員会(CIO :Comité International Olympique))の会議で“パリ2024”の決定が得られるかどうかが関心の的です。尚、このレースのTV中継では、各地沿道の景色、名所旧跡を映してくれますので、これも楽しみです 。自転車の話ですが、パリ郊外のサン・カンタンにある自転車競技場(le vélodrome)で、この1月4日、大勢の観衆を前に、105才になるロベール・マルシャン(Robert Marchand)さんが、1時間に22,5kmを走って高齢者としての新記録を立てて祝福を受け、新年の話題となりました。因みに普通の世界記録は英国のブラッドレー・ウイギンスが立てた1時間に54,5kmです。

*違反と罰金(LES FRAUDES ET LES AMENDES) 

フランス国鉄(SNCF)とパリ交通営団(RATP)は、パリ地区だけでも年間3億ユーロの赤字の原因の一つである利用者の違法行為の取締り強化に乗り出し、不正乗車などに対する罰金額を改めました。

それによりますと、無賃乗車・50€、車内・駅内での喫煙・68€、他人の乗車券使用(定期券など)・70€、車内、駅内での吐痰、吐唾、放尿・60€、忘れ物は危険物放置と見做し・60€、自転車、スケート・ボード、ローラー・スケート等の使用・60€、終点になっても眠って起きず、車内に留まった場合・60€、等々です。

又、取り締まりを受けた現場で即刻罰金が払えない場合は、更に書類作成料50€が追加されます。「もしもしお客さん、車庫ですよォ 。」「え、なにィ、シャコだってェ?それならシャコでもう一杯!・・・」は通じなくなりますのでくれぐれもご注意ください。しかし、こうした違反行為の取り締まりの現場は、検札以外は見たことがありません。誰が取り締まるのでしょうか・・・。

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2016年1月7日  St.Raymond :日の出08時42分:日の入17時11分    パリ朝夕-3℃/日中1℃晴天、ニース3℃/10℃晴天、ストラスブール-8℃/3℃曇天
「冷たさに身も引き締る寒の水」 (安芸寛)    

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