フランス通信

 

*インフルエンザの流行( L’ EPIDEMIE DE GRIPPE ) 

正月以来続く厳しい寒さに、悪性のヴィールス(le virus virulent)による風邪が大流行、掛かりつけの開業医へ行けば、診察待ちの人で待合室は溢れ、或いは医師自身も流感に倒れ、何時でも何でも受けつけてミモザくれる市立や国立の大きな病院の救急課も廊下まで、具合の悪そうな人、人、人・・・。

急がない手術を後回しにして診察・治療にあたる医師や看護婦達。入院が決まってもベッドが足りなく。しばらくの間はこんな状況が続きました。フランス保健局(Agence Sante publique France)によれば、今回の流感の99%はH3N2というヴィールスによるのだそうですが、65才以上の人には無料のワクチンも、ヴィールスの形が違うのでしょうか効果がなかったとか、特にお年寄りや子供等は肺炎になって死に至るケースも少なくありません。或る新聞は見出しにインフルエンザを「大量殺人」(une hecatombe)と大書きした程、2015年には流感がもとで亡くなった人が18 300人を数え、今回も昨年12月から今年1月迄の間に既に8100人が亡くなっているとのことです。

マスクをする人などはめったになく、電車・バスの車内で、口に手もあてずにゴホン、ゴホン。家に帰ったら必ずよく手を洗い、うがいして、暖かく過ごすなど、大いなる注意が必要です。

*ヨットレース「ヴァンデェ・グローブ」 ( ≪ LE VANDEE GLOBE ≫ )

4年に1度の単独・無寄港の大ヨットレース、第8回は昨年11月6日にヴァンデェ地方のサーブル・ドロンヌ港から29人が80日間世界一周を目指してスタートしました。

途中の悪天候、高波、故障、修理、孤独、等の悪条件から多数のレース放棄も出ましたが、その難関を突破して、1月19日16時37分、フランスのブルターニュ地方の海の男アルメル・ル・クレアッシュ(Armel Le Cleac’h)(39才)が74日3時間35分46秒でサーブル・ドロンヌに帰港してゴール。

2013年に優勝したフランソワ・ガバール(Francois Gabart)が持つ78日2時間16分46秒の記録を破って優勝しました。翌20日の8時35分には、英国ウエールズのアレックス・トムソン(Alex Thomson)(42才)が74日19時間35分でゴールして2位、続いて23日にはジェレミー・ベユーが78日6時間38分で3位に入りました。

アルメルの優勝を知ったシンガリに控える仲間のセバスチャン・デトロモー(Sebastien Destremau, lanterne rouge du Vandee Globe)は、「おめでとう。2月26日頃到着予定につき、今夕の優勝祝いの宴には間に合わなくて残念。」と祝電を送って来たそうです。24日には更に3艘が次々にゴール、一体何人が完走するのでしょうか。

日本人として初めて参加した白石康次郎さんは惜しくも途中で棄権したようです。

*忘れられたダヴィンチの1枚のデッサン ( UN DESSIN DE VINCI OUBLIE ) 

寒さの厳しい1月のある日、父親が遺したコレクションの中から14枚のデッサンを携えた年輩の紳士が、鑑定士、公売人として知られるT氏の事務所を訪れて、鑑定を依頼しました。

その中の1枚“サン・セバスチャン”(Saint Sebastien)と題したデッサンが左手で描かれたものと判り、裏側には左手で逆に書かれた文章が現れました。これは正にレオナルド・ダヴィンチ(Leonard de Vinci(1452-1519))の特徴で、果たしてそれが本物か、鏡を立てて読んでみたり、科学的にも慎重に調べたところ、1480年頃に描かれた本物との結論に至り、1500万?と査定されました。しかし競売にはかけられず、現在ルーヴル美術館が引き取るべく、決定待ちとのことです。

*ドゴール空港美術館 ( L’ ESPACE MUSEES DE ROISSY ) 

パリ・ドゴール空港にある美術館をご存知ですか。

2013年に作られた200㎡の小さな美術館ですが、現在はピカソが南仏で制作した作品、セラミックの水差し(1951)を始め、絵画では“横たわる裸婦とギターを弾く男”(Nu couche et homme jouant de la guitare)(1970)、マネの有名な“草の上の昼食”を真似た“マネによる草の上の昼食”(Le Dejeuner sur l’herbe d’apres Manet)(1961)など35点を展示しています。

場所はターミナル2E、出国手続きを済ませ、搭乗待合室・搭乗口のあるホールのM、高級品のブティックが並んでいる所です。6月15日迄開催、入場無料ですから、日本への飛行機の搭乗が始まる迄の待ち時間に訪れてみては如何でしょうか。

*「近代美術のイコン」“シュチューキン・コレクション”展・会期延長
  ( L’ EXPOSITION
CHTCHOUKINE PROLONGEE ) 

当展は、初めて見る、めったに見ない、珍しい、しかも解り易いモネやピサロ、マチス、ゴーギャン、ゴッホなど親しみある画家たちの130点もの作品を展示して、大変に好評を得ていますので、2月20日迄であった会期が3月5日迄延長になりました。

Fondation Louis Vuitton (8, Avenue du Mahatma Gandhi, Bois de Boulogne, Paris 16e)メトロLes Sablons下車、開館時間も変更されています:火曜日を除く毎日11時―20時、金曜日は23時迄、土曜・日曜は09時‐21時、各地の学校“2月の休み”中は火曜日を除く毎日09時‐21時、金曜日は23時迄、入場料16?、18才未満は5?です。

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2017年2月3日 Sainte Blaise :日の出08時17分:日の入17時51分    パリ朝夕8℃/日中12℃曇天、ニース10℃/15℃曇天、ストラスブール5℃/9℃晴天
霧の朝鶯の声春近く」 「雪解けにゴム長汚れ泣く子供」 ( 安芸寛)     皆様、どうぞお元気で 

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