天為ネット句会2019年12月吟行 句会報

ネット句会吟行 第7回(京都)句会報

  ボタン 12月21日(土)晴天 [吟行地]  京都ホテルオークラ周辺幕末史跡をたどる三条・四条界隈 
                                             佐藤博子 文責

福永 法弘 先生をお迎えして

  参加者 :天野小石、 西脇はま子、 内村恭子、 中村光男、 高橋紀美子、 相沢恵美子、 原 道代
       永井玲子、 染葉三枝子、 森野美穂、 
  スタッフ:佐藤律子・佐藤博子    (順不同)
  句会  :投句・・5句 選句・・5句


京都オークラホテルエントランス

ネット句会吟行第7回は、京都にて開催いたしました。
 クリスマス・バージョン華やかな「京都ホテルオークラ」ロビーに9時集合、途中合流2名を含む総勢13名、福永先生のご案内で長州藩邸跡に建てられたホテルの史跡を巡り、高瀬川の一之船入、秀次一族を供養した瑞泉寺、木屋町通り界隈の史跡、岬神社(土佐稲荷)をつかず離れず、のんびりと吟行。
 その後は、四条大橋より鴨川の河原へ下り、飛び交う百合?、橋桁の下の河鵜の群れ、水鳥たち・・・いつまでも浸っていたい賀茂の流れでしたが、時間はあっという間に過ぎホテル17階のランチ会場へと向かいました。
 まずは乾杯~!東山三十六峰を借景にビッフェを堪能した後は隣接の句会場へ移動。 吟行中は季語を拾ったり、句に纏めたり、久闊を温めたり・・・と各人各様でしたが、句会場ではピリッとした空気感に一転。投句→清記→選句まで精神集中。
 選句を各自披講したあとは、 先生の御選の始まりです。また新たな緊張感が漂いますが、懇切なる選句・評を頂いた後の笑顔、安堵、ちょっと落胆貌、ネット句会の仲間と五感を刺激され切磋琢磨する幸せを共有出来ました。名残りは尽きませんが次回を約して閉会いたしました。  

賀茂川

マップ

当日は、福永先生のご用意下さった「京都オークラ周辺幕末史跡マップ」を辿り、前日は、有志の方々と同志社大の薩摩藩邸跡、同志社大ゆかりの会津藩・・・と幕末・明治時代に想いを馳せる吟行となりなりました。京都では「先の戦」がいつのことをさすのか疑問に思いつつ・・・歴史の全てを呑みこみ世界中の人々で溢れている京都の底力と魅力を改めて感じました。
ご参加出来なかった方も、ご一緒に吟行している気分で句会報をお楽しみ下さると幸いです。次回、ご一緒出来ることを楽しみにしております。(スタッフ一同)

    福永法弘 作品
    出汁の良き香や洛中に冬深む
    材木商酢屋の二階の木の葉髪
    ポインセチア人前婚は見つめ合ふ
    凩や軒提灯に芸妓の名
    年の瀬や囚徒も乗せし高瀬舟

 

        参加者二句(順不同)
 

天野小石
  京師走至る所に刀傷
  歳晩や京の路地の稲荷の灯

森野美穂
  落葉踏む龍馬のブーツ思ひつつ
  冬天や知足を問ふて高瀬川

 
 

西脇はま子
  思羽きらりと四条河原かな
  先斗町歌舞練場の冬椿

高橋紀美子
  殺生の河原に遊ぶゆりかもめ 
  土佐稲荷の油揚ねらふ冬鴎

 
  内村恭子
  煤逃げも本格派なり京泊り 
  冬紅葉かつて人斬りてふ仕事

染葉三枝子
  弥次喜多の三条小橋日向ぼこ
  舞ひやまぬ四条河原の百合?

 
 

中村光男
  池田屋と寺田屋迷ふ冬帽子
  菊花紋消されし瓦実南天

永井玲子
  柔らかな日ざし銀猫雪柳
  青竹垣きつめに編みて年男
 
  原 道代
  八重邸跡青き蕾の寒椿 
  落葉ため一之船入高瀬舟

相沢恵美子
  鴨川の堰音高し風凍つる
  年惜しむ鴨川ほとり行き戻り

 
  佐藤律子
  冬ぬくし玻璃戸拭きあぐ先斗町
  冬あたたか川面の鴨の毛繕ひ 
佐藤博子
  行く年の小路に香るかつをだし
  志士駈ける洛中洛外虎落笛
 
                 以上  

ネット句会有志による前日吟行   於:同志社大学・相国寺承天閣美術館

前泊9名にて、14時に同志社大学正門前集合。 冬晴のなか、赤煉瓦造りの校舎の並ぶ校内及び相国寺承天閣美術館を吟行いたしました。明治時代の京都に教会・学舎を建てる困難、建学の精神などに想いを馳せ、以前放映された大河ドラマの「八重の桜」の中心人物の八重はもちろん、兄の山本覚馬が幕末に買い取っていた薩摩藩邸跡に建てられている事、新島襄に関する逸話など未知の話題に感嘆の声しきりでした。
    
その後、同志社大学キャンパスツアー担当者の方に移動時間・コースなど丁寧に教えて頂いていましたので、参加者は迷うことなく、相国寺、相国寺境内にある承天閣美術館に向かい、閉館の五時まで相国寺及び山外塔頭である金閣寺・銀閣寺他塔頭寺院に伝わる美術品を鑑賞。特別展のお茶道具や秘蔵の美術工芸品の数々に魅了されました。大学構内に点灯したクリスマスツリーを眺めに戻った後、句会場となる京懐石店「紫」に向かい趣向豊かな句が並ぶ句会となりました。


同志社地図1 クリスマスツリー
クラーク記念館
                                            画像提供:『同志社大学』


 

西脇はま子
  極月の香焚きしめて相国寺
  若冲の鶴唳のする冬青空

高橋紀美子
  京懐石のしめは名物氷魚めし 
  柚子香る吸物椀の京懐石
 
  永井玲子
  年惜しむ厚き同志社百年史 
  春を待つ牧童の笛十牛図

染葉三枝子
  鵙鳴くや自責の杖の真二つ
  電飾の聖樹学舎の窓あかり

 
 

中村光男
  地層断面大火のあとあり京の冬
  冬の虹立志の七五三太出国す

相沢恵美子
  川端の枯木風鳴る洛中図
  新島七五三太の産衣紬や冬ぬくし
 
  原 道代
  赤レンガの校舎を君と冬の虹 
  むらさきの梅花天目冬の夕

佐藤律子
  秘伝書の墨字のはらひ月冴ゆる
  極太の南天柱冬座敷

 
  佐藤博子
  京料理氷魚ごはんで終はりたる 
  藍深き薩摩切子や星冴ゆる
             以上  


   新島 襄の「自責の杖」    (同志社大学キリスト教文化センター ホームページより

「・・中略・・同志社においては、一八八〇年の事件は、新島が十字架の道を歩まれたキリストにしたがって、ストライキした生徒たちの罪と、落ち度のある措置を取った学校側の罪とを一身に引き受けて、自分で自分を厳しく処罰したのだ、と解釈してきたのです。ストライキをした生徒たちは、このことを一生涯忘れなかったに違いありません。否、その場に居合わせた大多数の生徒は、あの瞬間新島に現われた、魂をゆり動かすほどの魔力を感じ取ったのでした。」



  同志社礼拝堂 同志社礼拝堂 クラーク記念館3 クラーク記念館2
  同志社礼拝堂(チャペル)2点               クラーク記念館 2点  画像提供:『同志社大学』 

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