天為ネット句会報2023年8月

 

天為インターネット句会2023年8月分選句結果

 ※特選句、入選句内の順番は互選点、句稿番号の順。
  また互選句は句稿番号順に並べております。

  <福永法弘同人会会長選 特選句>

端居して虫の図鑑の脚の数               芥 ゆかり

ただぼーっと端居しているのではなく、昆虫図鑑を眺めているのだ。で、意外に面白くて引き込まれたのが昆虫の脚の数。(法弘)

子供さんと一緒かな。いいひと時。(肇)

昆虫は六本なのに蜘蛛は八本…子どもの頃に図鑑を眺める経験の大切さ。(恭子)

手鞠

青田風ぐいぐいぐいと陶土揉む             冨士原 博美

たくましい二の腕、太い節くれの指が見える。(法弘)

泰山木

  <福永法弘同人会会長選 入選句>

青竹の匂ひを啜る冷素麺                合田 智子

青竹を縦に割って長く伸ばし、何本もつないで、そうめん流しに興じている。そして、素麺にほのかに青竹の香が感じられるのだ。涼しそう。(法弘)

五感の全てに訴えてくる清涼感のある句。(博行)

爽やか!美味しそうですね。今年の猛暑半端では無い!!作者の方のご健康をお祈りいたします(早・恵美子)

流し素麺を想像しました。割りたての青竹の匂いまでもがご馳走です(律子)

「匂いを啜る」で素麺の素麺らしさ一気に出てきた。(桂一)

冷房のロビーに化石ある柱               上脇 立哉

大理石には化石が含まれていることがある。冷房のロビーとの取り合わせがなかなか面白い。(法弘)

「冷房のロビー」がうまい。アンモナイトや巻貝などが残るひんやりとした大理石の柱へと想像を導いてくれる。(ゆかり)

冷房という現代のものと、化石との対比がいいなと思いました(美穂)

どこの化石なんでしょうね、ロマンを感じます(夏江)

夏休み長女の好きな逆上がり              金子 正治

なぜ好きか? それは、上手にできるようになったから。(法弘)

孝子、勢津子

曲屋を出入りしきりの夏燕               荒木 那智子

親燕から子燕へ引き継がれ、毎年、巣作りにやって来るのだろう。曲屋の古さから、何十年も、あるいは百年以上も続く光景だとわかる。(法弘)

馬に加え夏燕も人間の生活の中に自然と溶け込んでいる様!命預かっていますね(憲史)

立哉

作業員クーラージャケット膨らませ           石川 由紀子

冬場に着るダウンジャケットと見まがうが、夏場のそれは中が空洞で、扇風機で風を送ることができて涼しい優れもの。(法弘)

唐臼の出水に崩れ小鹿田焼               牧野 桂一

日田の小鹿田焼の皿山地区は、水車で動く唐臼がとても印象的で有名。その唐臼が今年の7月の出水で崩れたのだ。国の重要無形文化財でもあるだけに復旧が待たれるが、かなりの時間がかかるらしい。(法弘)

7月の大分の集中豪雨で300年以上続く小鹿田焼の全窯元が被災したそうですが、復興を願うばかりです。(相・恵美子)

短冊に考への手紙星まつり               加藤 直子

考は「ちち」と読み、亡き父のこと。願い事を書くはずの短冊に、生前の父には伝えきれなかった思いを書いたのである。(法弘)

香誉子

甌穴に遊ぶ小魚遠郭公                 早川 恵美子

遊ぶという把握だが、もしかしたら、水が引き、取り残されているのかもしれない。だとするとちょっと危うい光景。格好の声も寂しく響く。(法弘)

甌穴の小魚のクローズアップに遠郭公の声が重なる。夏の渓谷を空間的広がりの中で描き切っている。(博行)

一直線に妻の方へとごきかぶり             たかほ

ごきぶりは後退ができず、前にしか進めない。進む先にゴキブリ退治のプロの妻がいて待ち構えているとも知らず。(法弘)

妻まかせか?夫が動くのか・・このあとの若い?夫婦のドラマを想像しました。(博子)

浴衣着て清張ぶらり門前そば              荒木 那智子

松本清張の姿が見事に浮かび上がる。(法弘)

河童忌や半月低き西の空                岡崎 志昴女

芥川龍之介の忌日が河童忌で7月24日。ふと見上げれば西空に低く半月。(法弘)

   <互 選 句>

祇園会の湿気の辻を桐の下駄              日根 美惠

桐の下駄の音が聞こえるようで、涼しそうです。 (典子)

祇園会の蒸し暑さの中、桐の下駄を履いた粋な浴衣姿が見えるようで素敵です。(澄江)

匠子

秋風に舞子の袂うちふるふ               松山 芳彦

秋風冷涼な綺麗な句(眞五)

街酷暑ぐいと踏み込む自動ドア             児島 春野

一刻も早く酷暑から逃れたい気持ちが中七によく出ています。(肇)

その気持ち、よくわかるります(眞五)

酷暑の通りから一刻も早く冷房の効いたビルに逃げ込みたい気持ちがでています。(直子)

ぐいと踏み込まなくても自動ドアは開くはず。建物から出るも入るも気合いがいる酷暑(百り子)

「ぐいと踏み込む」が涼しさの喜びをよく表現している。(ユリ子)

史子、勢津子

蝉の穴六つ並びて円を成し               明隅 礼子

史子、順一

すれ違ふ浴衣や赤や青の髪               森野 美穂

染料の進化でしょうか。最近の若者の人工的な髪色、見ていて楽しいです。それで浴衣も着るのは何という自由。(恭子)

すれ違ふのは赤や青の浴衣ではなく髪の色だったのが面白いと思いました。なるほど赤や青の髪の色した若者をよく見ます。(道代)

浴衣姿もカラフルになりました(智子)

浴衣も髪色もカラフル。祭か花火か・・今を切り取る温かい眼差しに共感しました。(博子)

孝子、 伊葉

八月やコーンパイプのマッカーサー           金子 肇

旭、玲子

B-29トマト畑の中の記憶                西脇 はま子

戦中の爆撃機は国土を焼いた。幼い作者はトマト畑に潜み、母の袖陰から見たその紅さを忘れない。(茂喜)

道代

御霊会や源平絵巻の銀の波               斎川 玲奈

那智子

おばあちゃんは遊ぶのへたね夏休み           榑林 匠子

小学生の孫がいろいろな遊びを教えてくれる。かるたや糸とり名人の祖母は、今の遊びには疎い。(茂喜)

たかほ、万記子

息をすること意識する極暑かな             岡部 博行

万記子、香誉子、久丹子

みんみんや明日無き声をふりしぼり           土屋 香誉子

寿命を知ってか知らずか目いっぱい生きている!(憲史)

上五の「や」の切れ俳句として自立した。(桂一)

紀美子

空蝉やこんなに密にならずとも             佐藤 博子

一本の木に無数に登り空蝉となったものを見たことがあります。作者の意に同意(百り子)

われひとり残る戸籍や冷奴               髙橋 紀美子

淋しくも有り又ほっとしている様子が冷奴を食している所で感じる事が出来ると思います。(孝子)

「われひとり残る戸籍」という事実に淡々と向き合う作者の心境が「冷奴」の季語と響き合っている。(博行)

高齢になると戸籍もひとりになりますね冷や奴と合ってます(みつ子)

父と母を送り市役所に手続きをして戸籍謄本をとり、そのような状況を冷奴が物語っています。(博美)

戸籍にひとり残された辛い現実を受け入れ、さり気なく詠まれています。(相・恵美子)

深刻で寂しい中で、庶民的な「冷奴」が生きています(憲史)

由紀子、玲子、春野、伊葉、尚、勢津子、日記、真弓、久丹子

津軽夏田圃アートに風立ちぬ              鈴木 楓

正治

やはらかき風を赤子に古団扇              三好 万記子

「赤子」と「古団扇」との詩情。(孝雄)

使い慣れた団扇の優しい風を感じます(美穂)

さぞや、優しい風となったことでしょう。(てつお)

気持ちよさそうな寝姿が目に浮かびます(智子)

赤子に古団扇をつきあわせることで「やわらかき風」に実感が出てきた。(桂一)

泰山木、史子、正明

急逝の衣桁に洒落た夏帽子               荒川 勢津子

衣桁 しゃれた夏帽子 で急逝された方のお人柄が・・・ (美惠)

つい先ほどまでお元気で帽子をかぶって出かけられていたのでしょう。洒落たと言う言葉に故人の様子がうかがえます(直子)

お洒落な方だったのですね。でもサッパリと去られた。(志昴女)

函谷鉾蝶の形に縄を巻く                斎川 玲奈

山鉾に込められた、知恵と技術の数々に頭が下がります。(てつお)

はじめより笑み絶へぬ母大花野             合田 憲史

博嗣

香水瓶一粒星の砂残し                 石川 由紀子

星の砂がいいですね。青春の想い出が伝わってきます。(光男)

葉月潮沖紺青の船の道                 染葉 三枝子

「沖紺青の船の道」は、大潮の秋の海を活写しています。

爆睡の子が握りたる草いきれ              てつお

「握りたる」という表現がいいと思います。(典子)

一日遊び疲れた子を背負っているのか。ぐっすり眠って重たい子の汗やお日様や草むらの匂いがしてくる。(ゆかり)

夏野で思いっきり遊んだ子が遊び疲れて爆睡、手に握りしめた草からも夏の匂いが‥‥(律子)

朝顔の種採る手からこぼれけり             加藤 直子

朝顔の種・採る手からこぼれけりと読みました。(はま子)

人遠し寂しと見上ぐ花楝(はなおうち)         森山 ユリ子

博嗣

十六夜の月の雫の匂ひかな               松山 芳彦

整った美しい句。(孝雄)

車椅子にメロンをすくふ銀の匙             髙橋 紀美子

美しい「銀の匙」で、車椅子の方の愛情に囲まれた生活が見えるようです。(典子)

夕顔の雄蕊雌蕊の触るる闇               早川 恵美子

繊細な夜です。(志昴女)

遠くより眺むる君よ蓮の花               井上 澄江

正明

蝉時雨固く閉ぢたる地獄門               相沢 恵美子

夏江

手花火や遺伝子つなぐ子らの声             妹尾 茂喜

正治

戦死者へ慰霊の太鼓盆の月               染葉 三枝子

慰霊の太鼓しみじみ聞こえます(みつ子)

白南風やBTSは兵役に                 永井 玲子

韓国のアイドルの違う側面を見せてもらったニュースでした。(恭子)

鳩が鳴く厠の外は夏の風                石川 順一

寺山修司に通じるものを少し感じました。(博子)

開け放つ弥勒の御堂蝉時雨               鈴木 楓

薄暗い御堂の開いた窓や扉から入る日光と蝉の声を思います。(春野)

三枝子、澄江

夏暖簾割つて木履の舞妓かな              西脇 はま子

夏暖簾を割るが良いと思う(眞五)

匠子

涼しさは猫の寝そべる木の陰に             児島 春野

夏江、旭、道代、順一

夕暮れを映す水面よ夏の果               野口 日記

博嗣

主なきナナハンの吐露盂蘭盆会             金子 正治

言いたいことも聞きたいこともいっぱい の思いが (美惠)

葬終へて祭囃子を遠く聴く               荒川 勢津子

悲しいことも楽しいこともある、それが人生だ、ということですね。(光男)

祭囃子の賑わいの遠さに、逝きし人を思う気持ちが感じられる。(ユリ子)

あひづちにやや間のありて鱧料理            木村 史子

鱧を味わっているためか、それとも返答 に窮したのか、..人間味溢れるお句だと思いました(美穂)

初夏の巴里ホテルリッツのピアノバー          山根 眞五

たかほ

ざっくりと白磁の皿のさくらんぼ            宮川陽子

「趣」がある句。(孝雄)

つやつやと赤く跳ねるようなサクランボ。お皿の白さが効を奏していますね。(ユリ子)

青芝を踏むペディキュアの紅の濃き           金子 肇

芝の青とペディキュアの紅の対比が目に見えるようです。(光男)

こめかみの拍動ひろふ梅雨寒し             木村 史子

香誉子

上布着て昼酒もよし末廣亭               内村 恭子

末廣亭だから場所は新宿。寄席で笑った後昼酒に流れたのだろう。上布で寄席とは粋である。(ゆかり)

いいですね 上布も昼酒も末廣亭も・・・ (美惠)

粋な江戸っ子ですね(智子)

蝉の声満ちたる中に暮しをり              土屋 尚

四季折々、自然と共にある日常。羨ましいです。(手鞠)

蝉の鳴き声にふと幸せを・・共感です。(伊葉)

泰山木、澄江

滴りやぽとりと落ちて句読点              中川 手鞠

上手ですね。滴りに文學を観るって凄い!(早・恵美子)

長き長き蛇の衣あり神に捧ぐ              明隅 礼子

久丹子

蓄音器の雑音多し終戦日                須田 真弓

ラジオから聞こえる天皇陛下の声もザワザワしてましたね8月は終戦を思い出すと言ってもまだ記憶は曖昧でしたが(みつ子)

終戦日と云えばこのシーンがまず浮かびます。(博美)

那智子、三枝子

八月の寄席出囃子はハワイアン             内村 恭子

出囃子のハワイアンで臨場感満点の句。(はま子)

たかほ

藍を着る淡き香の人秋気ふと              日根 美惠

正治

村芝居悪代官は村の長                 合田 智子

全くその通りです。(博美)

由紀子、尚、正明

星涼し幼な見守る騎士冑                武井 典子

ノブレス・オブリージュに満ちた騎士。いつまでも子孫を見守り、尊敬されることでしょう。(博子)

金魚売夕風も売りて曲がりゆく             河野 伊葉

猛暑の昨今、実際に出会いたいような風景です。(春野)

噴水のバサと止まりぬ別れかな             泰山木

突然の別れ。どんな別れか色々想像が広がります。(肇)

噴水は音を立てて止まりますよね。後に残された静けさを別れと表現されているのがいいと思いました。(直子)

那智子、真弓

絶壁を背負ふ札所の暑さかな              須田真弓

温子、立哉、紀美子

打水や京の小路の普茶料理               今井 温子

京の路地の精進料理屋が見えてくる。(芳彦)

良い場所でお食事ですね~オシャレですね~懐はあったかいお方です!(志昴女)

由紀子、三枝子

青鷺の鼓翼ゆつくり空掴む               小栗 百り子

青鷺がゆっくりと羽ばたき空を掴んでいるという雄大な景色が見えてくる。(芳彦)

温子、紀美子

睡蓮の白の浮き立つ札所寺               竹田 正明

古びてさして大きくもない札所寺に睡蓮の白がきれいです。浮き立つが良いと思います。(百り子)

芳彦

出水川AIの読むニュースかな             中川 手鞠

河川が氾濫しても、機械が読むニュースは深刻さが伝わらない。感情はどうしても人間に限る。(茂喜)

真弓

甘酒を啜り今年の直木賞                泰山木

甘酒と直木賞の取り合わせは絶妙です。(はま子)

立哉、玲子、日記

青黴の描き出したるアラベスク             中村 光男

未だ青黴チーズ頂ける味覚に育っていないのですが。ワインと合わせたら御洒落ですね。(早・恵美子)

温子、手鞠

ジャンケンのポンに切れたる蜥蜴の尾          牧野 桂一

無邪気とは言い切れない、、、(匠子)

想ひ出は波音となり夏終る               三好 万記子

夏の想い出が波音となり消えていく様子に余情が感じられます。(相・恵美子)

夏に重ねた思い出が波のように寄せては引いていく、とても幸せな時間です(律子)

材料は三種梅酒の出来具合               岡崎 志昴女

順一

白日傘福祉弁当届けけり                冨士原 博美

猛暑でも人の優しさが届く日々。白日傘の清潔感がぴったりです。福祉弁当という言葉を知りました。(万記子)

日記

以上


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