天為ネット句会報2023年12月

 

天為インターネット句会2023年12月分選句結果

 ※特選句、入選句内の順番は互選点、句稿番号の順。
  また互選句は句稿番号順に並べております。

  <福永法弘同人会会長選 特選句>

斑鳩のどの道行くも柿たはは              今井 温子

まさに晩秋の斑鳩の光景。子規をほのぼの偲ぶ。(法弘)

柿がたわわな斑鳩の道、羨ましい。明るい句。(佳久子)

これぞ斑鳩というところですね。(てつお)

雰囲気がよくでていると思います(夏江)

10月の吟行を懐かしく思いだしています。4,5泊してどの道も歩いてみたい。(博子)

由紀子

煤逃げの化石を探す大理石               荒木 那智子

煤逃げでどこへ行くか、行った先で何をするかで非凡、平凡な句に分かれるが、面白い素材を見つけた。(法弘)

  <福永法弘同人会会長選 入選句>

脱藩の道と書かれし村時雨               日根 美惠

脱藩といえば坂本龍馬。昨今だとカナダへ亡命した香港の民主活動家の周庭さんもその系譜。ひとしきり降って通り過ぎていく村時雨が、根先の苦難と同時に、前途が明るく開かれることを暗示しているかのようだ。(法弘)

龍馬の通りし道か?ロマンを感じる(眞五)

竜馬が越えた道と村時雨が響き合っている。(博美)

村時雨に梼原の雰囲気を思い出す。「竜馬がゆく」は青春のバイブルだった。(博子)

立哉、芳彦、那智子、正明

すぐ陰る峡の日差しや懸大根              今井 温子

我が幼少の頃の懐かしい光景。(法弘)

美味しい沢庵漬けが出来ると良いですね。(孝雄)

山に囲まれた暮らしが実景として浮かびます。(てつお)

高い山々に囲まれ、日照時間が短い部落の冬支度が目に浮かびます。(春野)

たかほ、紀美子、志昴女、正明

朗人忌の壜の中なる帆掛船               西脇 はま子

朗人先生は昔、フルブライト留学生として、氷川丸で渡米された。そのことを彷彿とさせる句。(法弘)

旅の多かった先生を偲び、ボトルシップに作者も旅心を掻き立てられているのだろう(ゆかり)

博嗣、百り子

フェノロサが解きし秘仏や冬の鵙            榑林 匠子

フェノロサのおかげで日本の仏教美術が救われた。冬の鵙の凛として動じない姿が彼に重なる。(法弘)

法隆寺夢殿の救世観音のエピソードと思いました。(たかほ)

フェノロサと岡倉天心に感謝です。季語がいいと思いました。(美惠)

フェノロサが祈願して救世観音の開扉が許されたと知りました。季語が効いています。(相・恵美子)

集会所甲乙つけず菊ならべ               上脇 立哉

争わないのが基本だが、出来不出来は自ずとわかる。(法弘)

甲乙つけづ気遣い見られる菊の展示。多分村の集会場なのだろう。(郁文)

博嗣

半袖の人多き街冬に入る                宮川 陽子

暖冬でもあるが、白人種は薄着が多い。(法弘)

尚、順一

濁声の鴉吹かるる神渡し                佐藤 博子

冬の風に向かって叫ぶカラスにも、美声、悪声がある。(法弘)

情景が見えます。皆様鴉君は頭が良いので、暮のお買い物狙われないように気を付けてね♪(早・恵美子)

こんな光景よく見ます。神の鴉ではなく濁声の鴉が空中で風に吹かれてバランスを失っている。季語も内容も面白いです。(百り子)

波郷忌やかつて清瀬は療養所              岡崎 志昴女

天為の主要同人だった故・七田谷まりうす氏も若い頃、波郷と同じく清瀬の療養所にいた。(法弘)

深大寺に吟行した時に墓をたまたま見つけた(眞五)

正治

教へ合ふ国旗の色や暖炉の間              明隅 礼子

とくにヨーロッパの国々の、縦や横の三色旗の違いは難しい。暖炉の間の家族だんらんの様子が目に浮かぶ。(法弘)

いろいろな国籍の人が集い、夫々の国旗の「色」を教え合うというのが新鮮であたたかい(ゆかり)

クーデターの後は灯らず冬館              内村 恭子

クーデターを素材とした句は珍しい。季語と上手く繋げた。(法弘)

   <互 選 句>

一叢の菊を咲かせて屋敷畑               上脇 立哉

小さき手とむすんでひらいて冬ぬくし          冨士原 博美

中七のひらがな表記が小さき手をより際立たせやさしい景が浮かびます(律子)

幼子達の手遊び、懐かしいですね。”冬ぬくし”の季語がいいですね。(智子)

幼い子の表情が目に見えるようです。季語とも合っていますね。(泰山木)

冬ぬくしがピッタリの微笑ましい光景です。(孝子)

楓、手鞠、久丹子

糶終へし三崎市場や冬の波               阿部 旭

芳彦

冬耕の身振り手振りの夫婦かな             てつお

身振り手振りが冬の畑と仲良し夫婦を感じます。(孝子)

紀美子、日記、春野

冬の蝶石の上にと決めゐたる              垣内 孝雄

好天の小春日和と思われる(眞五)

敏晴

山盛りに枝豆の皿獺祭忌                髙橋 紀美子

いいですね枝豆で一杯(みつ子)

立哉

喜びを記す手帳や冬桜                 野口 日記

「喜びを」が俳句にぴたっと入った作品。(立哉)

喜びだけを記すのは、素晴しい。いつ見返しても楽しいことでしょう。(ユリ子)

万記子

湯豆腐の育む土地や南禅寺               郁文

京都はなぜかお豆腐がおいしい(みつ子)

朗人忌や句集「流転」を読み返す            妹尾 茂喜

正明

悴むや笊に朝採れ京野菜                合田 憲史

風呂吹き、「大原女」をも想う句。(孝雄)

みず菜・壬生菜・九条ネギ・加茂ナス・・瑞々しい京野菜は冬の風物詩です。(泰山木)

偉人とは伊能忠敬寒北斗                山根 眞五

志昴女、正治

夕照やはがねの色の穴惑ひ                 斎川 玲奈

香誉子、紀美子、史子

心やや折れたる池や漱石忌                 芥 ゆかり

恭子

銀杏散る何語るらむ師弟句碑                小高 久丹子

黄泉の世界でも師弟のきずなの深さが...(郁文)

由紀子

着ぶくれて「の」と「に」思案の一句かな        てつお

冬吟行。同感です。句会場で思案するのも手ですね。(肇)

推敲の姿が目にみえる(勢津子)

久丹子

衛兵の十歩に霜の溶けはじむ              熊谷 佳久子

”十歩”に厳しい寒さ何するものぞ!きびきびした巡廻の勇姿が目に浮かびます(憲史)

足音の真直ぐにとほり冬木道              中島 敏晴

周りは無音と寒さ、鋭い表現。(伊葉)

水平に紅葉へ渡る渡月橋                岡部 博行

渡月橋からの紅葉の景。”水平に渡る”の表現が素晴らしい(憲史)

伊葉

川の字で干さるる布団冬日和              野口 日記

敷いてあった様に並べて干してある布団、見過ごしてしまう日常をうまく切り取った面白い句だと思います(律子)

若夫婦と一人っ子の家族、川の字に布団が干されている。いかにも穏やかな生活が浮かんできます。(光男)

今夜も暖かく眠れそうですね。(てつお)

万記子、春野

遺されし兄のピッケル山眠る              熊谷 佳久子

山で遭難した兄のピッケル、兄は本当に山に眠っている。(博美)

部屋に飾られている”ピッケル”。冬山を見る季節になると兄との思い出が甦ってきます(憲史)

冬山に逝かれたお兄様でしょうか。山眠るという季語が効いています。(光男)

兄の遺品のピッケルを見詰め、今は穏かだが兄の命を奪った冬山に思いを馳せる作者の心情が伝わる。(博行)

登山が趣味であったお兄様を偲ぶ追悼句ですね。季語が効いています。(相・恵美子)

正治、陽子、夏江

小六月猫よりもらふ大欠伸               金子 肇

猫と縁側で・・・。(孝雄)

日溜まりの猫、それを見ている人、のんびりといい時間が流れているのを感じます(律子)

昭和の時代の縁側の景が浮かびます。(智子)

楓、手鞠

AIに任す勤労感謝の日                  佐藤 博子

那智子

凩の音を残して閉まるドア               児島 春野

「音を残して」に凩の強さを感じる。(桂一)

神名備の星の雫か竜の玉                竹田 正明

由紀子、勢津子

丸いピザ三角に切りクリスマス             芥 ゆかり

はま子、勢津子、陽子

綿虫の羽音聞かむと忍び足               竹田 正明

綿虫に羽音があるのでしょうか?繊細で楽しい~(博美)

順一

それぞれの思考の形かりんの実             中村 光男

「かりんの実」を「思考の形」と見たところに独自性がある(桂一)

思考を形にすると複雑で取留めが無いかも。形にして固めてみたらかりんの実の形かな(百り子)

香誉子、手鞠、那智子、はま子

安田講堂泰然自若総長忌                小高 久丹子

学生の大きな事件も昔のこと泰然自若が合ってますね(みつ子)

有馬先生を安田講堂になぞらえ、「泰然自若」の表現は絶妙。ほんとうにご立派でした。(ユリ子)

病院の中庭石蕗の盛りなる               土屋 尚

日記

選択の余地なき夜食煮詰め居り             町田 博嗣

お仕事ご苦労様です!でも夜食が用意されているのは倖せかもお身体に気を付けてね(早・恵美子)

恭子

朴落葉手に立行司気取りかな              金子 肇

立行司気取りとは、微笑ましい情景。(佳久子)

街小春行き先決めぬスニーカー             岡部 博行

私も気の向くまま招かれるまま小春の街を彷徨っています。最高の暮らしです。(万記子)

思わぬ暖かさに足が軽くなります。(智子)

夏江、久丹子、日記

リビングに森の匂ひの聖樹買ふ             中川 手鞠

人工の物ではなく本物のクリスマスツリーをリビングに飾る贅沢。中七の措辞が効いている。(博行)

恭子、陽子

肥後屋敷雪吊を待つ一の松               須田 真弓

伊葉

生まれ来る嬰待つベッド十二月             佐藤 律子

十二月がはまった。嬰の誕生を神聖な思いで待っているのでしょう(ゆかり)

家族ばかりでなく、ベットも嬰の誕生を待ち望いる擬人化の句を上手く詠んでいます。季語が相応しいです。(相・恵美子)

スケボーの走る駿府の街小春              小栗 百り子

玲子

臘月の奇襲の後の闇深し                松山 芳彦

史子

杜鵑草女の使う脇階段                 榑林 匠子

楓、玲子

燐寸の火すぐに大きく闇夜汁              明隅 礼子

燐寸の火が瓦斯に燃え移っているところがよく分かる。(桂一)

はま子

花ひらくごとくに割りぬ冬林檎             荒木 那智子

敏晴

刃を噛みて離さぬ南瓜たたきつけ            髙橋 紀美子

切り込んだ包丁が刃こぼれを起こしそうでほんとに南京固いです。「たたきつけ」がリアル(美惠)

硬い南瓜にてこずっている。気持ちはよくわかります。(泰山木)

まさかり南瓜。包丁が抜けず思案にくれた経験あり。でもとてもおいしい南瓜。(佳久子)

思わず笑ってしまいました、本当に固いですね。(孝子)

街路樹の最後の一葉十二月               合田 智子

敏晴

鬼柚湯鬼顔やがて福の顔                合田 智子

湯につかっているうちにふやけてしまった鬼柚を福の顔と言ったところが面白いです。(肇)

鬼柚は福の顔となり、作者のお肌はツルツルになって笑みがあふれている・・・かな?(博子)

史子

時雨くる広重斜影現るるやうな             河野 伊葉

芳彦

精神的図書館通ひ萱の傷                木村 史子

博嗣

北風に行く我歌レット イット ビー            早川 恵美子

「レットイットビー」というフレーズが好き。北風は厳しくとも。(ユリ子)

逃げ切りのトライの後の白き息             中村 光男

ラグビーの一番の見せ場。大歓声が聞こえてきます。(肇)

客人まろうどは碧眼ポインセチア抱き              森山 ユリ子

ポインセチアの赤と碧眼のブルーが鮮やかに・・・・(美惠)

プレゼントかな?素敵です(早・恵美子)

玲子

親鸞忌隠れ門徒の洞の井戸               牧野 桂一

順一

戦争を知るマフラーの真知子巻             早川 恵美子

昭和の時代を感じさせますね。いやな世情、複雑な心境。(光男)

懐かしきシーン。 戦争を知るの切り口が良い。岸恵子を含め確かにこの世代が生きぬいたころ。(郁文)

侠気も経年劣化寒椿                  山根 眞五

香誉子、志昴女

踏切番今は昔の虎落笛                 石川 由紀子

たかほ

山峡の風はおおらか銀杏散る              日根 美惠

ゆっくりと散る銀杏黄葉が風に運ばれて行く。穏やかな山峡の景をゆったりとした調べで詠んでいる。(博行)

以上


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