天為ネット句会報2025年2月
※特選句、入選句内の順番は互選点、句稿番号の順。
また互選句は句稿番号順に並べております。
アレッポの草色石鹸春の朝 永井 玲子
シリア第2の都市アレッポでは1000年以上も前から石鹸が作られていた。独裁者の去ったシリアに春よ来い、平和よ来い。(法弘)
アレッポの石鹸は全身にも洗髪にも使える由。草色で春の朝の感じが出た句。(佳久子)
シリア名物の草色石鹸から、圧政を脱した春の朝を想記。(純夫)
草の石鹸の匂いが漂う明るく気持ちのよい朝、一日が始まる。(真弓)
湯豆腐に江戸箸入るる紙魚亭忌 牧野 桂一
有馬先生の生前の気さくな姿を彷彿とさせる句。(法弘)
雰囲気有りますね(早・恵美子)
比丘尼寺の潜り戸低く福寿草 阿部 旭
低いくぐり戸が、尼寺の静かなたたたずまいとつましい暮らしぶりを偲ばせる。福寿草の明るさも慎ましい。(法弘)
低い潜り戸、暖かな黄色の福寿草と尼寺にふさわしい情景ですね。(春野)
福寿草が生きてます(早・恵美子)
芳彦、由紀子、伊葉、紀美子、 楓、雅司 、玲奈
母が居てその母が居て春炬燵 日根 美惠
女系は長生き。(法弘)
お母様,おばあ様がちょこっと春炬燵に座っておられる様子。穏やかな幸せの景が見えます。中七がいいですね。(光男)
その母が居て春炬燵。なんとも穏やかで羨ましいです。(玲子)
「は」の韻と、孫として娘としての優しい眼差し。 (正規)
女三代、絆は強いはず(智子)
手鞠、香誉子、陽子、玲奈
駅ピアノ手袋を置く譜面台 中島 敏晴
暗譜で弾ける曲が沢山ある人。おもむろに手袋を外す。(法弘)
さあこれからピアノを弾くぞ、という気概が中七で伝わってきます。(光男)
いざこれから、お得意の曲を披露される意気込みが窺えます。(哲雄)
皆諳譜しているので、譜面なしで弾く。譜面台に置いた手袋で季節もよく伝わった句。(佳久子)
なるほど駅ピアノに物を置くものがない。(郁文)
史子、三枝子、陽子
紙を漉く「いの」は
四国の仁淀川は「仁淀ブルー」と呼ばれるほど水の美しい河川。その川に流れ込む伏流水を惜しみなく使って、いの町特産の土佐和紙は作られる。(法弘)
昭和には四国四県で仁淀川の分水協定がよくニュースになっていた記憶。さぞきれいな水でしっかりした和紙が・・。(伊葉)
冷たい作業の映像が見えます (幸子)
「いの」への挨拶がとても響いているといただきました。(余慶)
道代
不要のもの片付けてより部屋寒し 荒木 那智子
断捨離もほどほどに。(法弘)
乱雑さのもつ暖かみを口実に私は片付けを怠っています。(肇)
不要のものの存在感あらためて (久丹子)
香誉子
水涸れて時を止めたる水時計 小栗 百り子
あたかも時が止まったように動かない水時計。季語の面白い使い方。(法弘)
現在の異常気象に思いがつながり、時が止まるという危機感が伝わる。(桂一)
三枝子
他人のものばかりよ母の買初は 内村 恭子
家族や友達に喜んでもらうことが、母の喜び。(法弘)
正月、一緒に旅した友人は娘や婿の買い物に明け暮れていてその母心を微笑ましく思ったところでした。幸せの在り方ですね。(ふみ)
母ってそんなものなんですね~(博美)
終電や熱失ひし懐炉揉む 木村 史子
通勤サラリーマンの悲哀。(法弘)
今年の寒さは格別、まして終電ともなれば。(泰一)
水仙や渡り廊下の左右に庭 町田 博嗣
大きな寺院の風情。 (法弘)
舟戻るところのくぼみ梅真白 河野 伊葉
京都の高瀬川には、荷下ろしのための舟入が九つあったが、今現存するのは「一の舟入」のみで、他には「四の舟入」が川の脇に舟一掃分の窪みを残し、舟入跡として往時を偲ばせる。川岸のわずかな窪みを見逃さなかった観察眼が鋭い。(法弘)
狐火を見てそれからの青絵の具 永井 玲子
狐火を見てそれを絵に描くという発想を青絵の具という名詞で簡潔に表現しているところに惹かれました (博嗣)
青みを帯びた狐火に出会われて、それが頭から離れないのでしょうか。(哲雄)
広重の「王子の狐火」では狐火を包む暗闇の表現が深い青だったことを思い出した。狐火は一体何色なのだろう。(ゆかり)
「それからの」の語に今も続く心理状態を感じます。(敏晴)
狐火に触発されて青を選ぶ…素敵です(美穂)
江戸の呉服屋めぐり粋ですねぇ (幸子)
狐火に憑かれた画家の魂。青絵の具の傑作が生まれるでしょう。(はま子)
恭子、玲奈
双六に越後屋白木屋松坂屋 はま子
さぞや年季の入った双六なんでしょうね。(哲雄)
こんな江戸双六、楽しいでしょうね。(泰一)
これだけレトロ感満載というのも なかなか (久丹子)
双六と昔懐かしいひゃか店の取り合わせ。リズムが良い。(郁文)
史子
春隣行きつ戻りつ下校の子 土屋 香誉子
立哉
寒の水ぶつかり合つて零れけり 明隅 礼子
寒の水に相等しい激しさに惹かれました(美穂)
コップの水や、薬缶の水だったのかもしれませんが、うねるさま、ぶつかり合うさまが目の前に映像化できるような感じがいいと思いました。(順一)
雅司
紅硬く尖りて風を裂く冬芽 岡部 博行
「尖りて風を裂く」の詠みは鋭いですね。(孝雄)
木々の枝えだにも春を待つ薄紅を感じる 中七にまだ春の遠さを思う。(温子)
冬芽の生命力がよく表現されている。(ユリ子)
植物のもつ生命力を捉えています。(肇)
三枝子、紀美子、尚
終活に取り掛かるまで日向ぼこ 鳩 泰一
正明、由紀子
ブラームス聴いて時計と雪の音 森野 美穂
雪の夜とブラームスの美しい取り合わせ。メロディが聞こえてくる。(ユリ子)
日記
一の橋杉千幹の淑気かな 垣内 孝雄
高野山はいつ参っても神々しいですが、お正月はまた格別でしょう。(春野)
春耕に目覚めて大地深呼吸 金子 肇
大地の深呼吸まさしくすごい詞いいですね(みつ子) 「大地」景の大きさの中、微かな「深呼吸」との表現が極め細やか(憲史)
勢津子
遠山の白く輝くねこやなぎ 荒木 那智子
白く輝いている遠山の景に猫柳も輝いている。季語が効いています。(相・恵美子)
遠くの雪山とほぐれた猫柳の取り合わせに、春を迎える喜びが溢れてくるよう。(博子)
真弓
子供等はやる気満々鬼の豆 芥 ゆかり
志昴女
冬萠の明るき庭となりにけり 土屋 尚
すんなり共鳴・共感できる句。(孝雄)
炭手前火相湯相も初けいこ 今井 温子
まさしく「初けいこ」ですね。(孝雄)
大寒の地を切り開く闊歩かな 児島 春野
地を切り開き闊歩寒さに負けず闊歩素晴らしい(みつ子)
闊歩する大男「てやんでー」と歩いていそう大手振り。 (正規)
「闊歩」がよく効いている(憲史)
初明りプロメテウスを継ぐ者よ 岡部 博行
プロメテウスが良いです(早・恵美子)
満杯のごみステーション初仕事 冨士原 博美
侑里
GPSの首輪光らせ狩の犬 石川 由紀子
大切なバディの犬を思う狩人の優しさが表現されている。これだったらGPSを使うのも有りかも。(博子)
那智子
大寒や「楽しい日本」もありぬべし 小高 久丹子
首相が掲げた『楽しい日本』。それはきっとあるだろう、あるにちがいない、あるはずだ、さて作者の真意は?(律子)
梅が香や御朱印帳を走る墨 金子 正治
最近は朱印帳をもっていなくても御朱印をもらえるようですが、やはりその場で墨痕鮮やかに書いて頂くのが有難そうな。(泰一)
恭子
早春の水落遺跡明日香風 染葉 三枝子
明日風という下五が秀逸、時空の広さ、風の暖かさまで感じながら遺跡を思い浮かべました。(ふみ)
明日香風が渡る水落遺跡に春の息吹が感じられます。(相・恵美子)
洗顔のシャボン泡立て春隣 相沢 恵美子
今日の洗顔は石鹸の泡立ちが良い。毎日の行為の中に季節の変化を感じ取る作者の感性が光る。(博行)
日向ぼこ小さく歌ふ「早春賦」 金山 哲雄
気持ちの良い日向ぼこ、思わず大好きな早春賦を口ずさみたくなったのですね。(孝子)
正明、夏江、侑里、紀美子
渓流の潜る一閃河鴉 中川 雅司
尚
侘助を志野の小壺にととのへる 垣内 孝雄
侘助と志野焼きの取り合わせに雰囲気がある。(ユリ子)
志野の小壺に楚々として目に浮かびます(みつ子)
日記
立春大吉窓に剪紙の四合院 鈴木 楓
中国風の家の窓に剪紙が貼ってある、写生がしっかり伝わり立春大吉を願う気持ちは何処の国も同じだなと気付かされる(ふみ)
那智子
初明り箱根連山ききょう色 斎川 玲奈
手鞠
冬惜しむ住みなれし家の鍵渡し 土屋 香誉子
鍵を渡す場面に集約し、やむを得ない事情を感じさせる。(純夫)
寒土用土竜の隆起其処かしこ 荒川 勢津子
夏江
着ぶくれてシナリオ通りゆかぬ恋 森野 美穂
恋もそう簡単にシナリオ通りいくものではありません。着ぶくれてという措辞で若干不貞腐れている姿が目に浮かびます。(光男)
シナリオ通りに行かぬ恋。今年は特に寒い。暖かい春はすぐそこに来ていますよ。(玲子)
志昴女
春待つや掴まり立ちの児の一歩 中川 手鞠
児の初めての一歩は本当に待ち遠しいし、嬉しいものです(智子)
道代、 楓、勢津子
大阪は遠し神戸に冬ごもり 鳩 泰一
神戸から大阪は遠いのでしょうか?もう春です、蛇穴を出て・・・(博美)
雪眼鏡此の世を映すピカソの眼 早川 恵美子
戦争の絶えないこの世がピカソの目にはどう映るのか。雪眼鏡で見なければ真面に見れない現実がある。(桂一)
寒月の一点光る御空かな 高島 郁文
孝子
蝋梅のくすっと笑ふ日向かな 熊谷 幸子
素敵な俳句でした。(佳久子)
中七の「くすっと笑う」が季語の新境地を開いているといただきました。(余慶)
寒さの中咲く様子を擬人化して捉えているのが面白い(智子)
冬麗の武甲山麓藍を干す 須田 真弓
由紀子、春野、百り子
栴檀の実のあかるさに夷堂 斎川 玲奈
博嗣
竹馬や絆創膏のおまじない 野口 日記
腕白坊主は手足そこら中「絆創膏」。「おまじない」に見紛うほどとの表現が面白い(憲史)
立哉
寒卵産地直送四十個 森山 ユリ子
作者の対象化した卵四十個と言う事実、この卵が何に使われるかまで、空想させてくれる、句のゆとりにも惹かれました。(順一)
空に凍つ希望の光ルミナリエ 佐藤 律子
震災より30年心打たれる一句。(温子)
正明
いにしへの若草伽藍下萌ゆる 芥 ゆかり
上5と季語の取り合わせが新旧を対比させ効いています。(相・恵美子)
侑里
切株に躓くほどの寒さかな 石川 順一
何でもない切株に躓いてしまった。着膨れて背を丸め歩いていたせいだ。小さな気付きを一句に昇華させた。(博行)
私にも似た経験があるが、寒さの形容として「切株に躓くほど」はうまいと唸った。骨折にご注意。(ゆかり)
ころころと庭に小走り寒雀 齋藤 みつ子
ころころがとても可愛く思わず微笑んでしまいました(孝子)
日記
蝋梅や家それぞれの盛と衰 金山 哲雄
同じ蝋梅の花が植えられているのに、かたや栄え、かたや衰え…切ないです(美穂)
それぞれの家の盛衰記。蝋梅が咲く頃に感慨に耽ったのかもしれません。(順一)
首塚や明日香枯野の陽に晒す 小栗 百り子
首塚の悲しみは今も絶えることはない。明日香には悲しい歴史も秘められている。(桂一)
楓
道着より湯気立ち上る初稽古 宮川 陽子
見たことのある懐かしい光景(眞五)
何度でも挑む小学生の男の子の姿が浮かびます(正規)
勢津子
梅白し打たるる雨になほ白し 河野 伊葉
白しのリフレインで梅の美しさが際立つ(眞五)
風光る新任教師の逆上がり 金子 正治
新人先生の 若さと気持ちの高ぶりが「逆上がり」に・・・(美惠)
風光るに新任教師のういういしさ、はりきっている様子が伺えます(夏江)
立哉、手鞠、陽子
蝋梅の香りに戻り佇めり 荒川 勢津子
「戻り」という心の動きが面白い(敏晴)
尚
骨董市鼬の毛皮日に膨れ 相沢 恵美子
博嗣、恭子
春立ちて殷墟の車馬の嘶けり 鈴木 楓
「車馬の嘶けり」が素晴らしいです。古代中国の殷王朝の繁栄ぶりが見えます(美惠)
春立ちて殷墟の馬車が嘶いたと「殷墟」としたところ面白い。(芳彦)
殷墟の車馬が立春になって嘶き力強く草原を走る光景が目に浮かぶ。(はま子)
雅司、百り子
早梅や在釜とある露地を入る 今井 温子
在釜は京都特有の言葉らしく気軽にお茶にどうぞという意味らしい。吸い込まれるように路地に入ってしまいそう(律子)
冬帝の夜の底打つハイヒール 長岡 ふみ
冬帝の夜の装い ハイヒールの音は余韻に響きます (久丹子)
底打つが殊に酷寒を表現し響いている佳句といただきました。(余慶)
真っ赤なハイヒール踵がクローズアップします。踏まれた冬帝は痛みに耐えかねて退散したのでしょう。ユーモアのある作品です。(はま子)
那智子
曲水の催馬楽に舞う若女かな 鹿志村 余慶
曲水の美しい光景(芳彦)
経済は炭水化物初仕事 伊藤 正規
玲子
肩の雪払ひてくぐる縄暖簾 宮川 陽子
自分の姿が重なる(眞五)
オリオンやナウマン象の眠る丘 熊谷 佳久子
冬空に輝くオリオン座と地下に眠るナウマン象の対比が悠久の時間と無辺の空間に読者を誘う。上五中七の音律も佳い。(博行)
古代からのロマンが伝わってきます (博美)
石段を軽々孫は初詣 井上 澄江
道代
おおいぬの鼻先青く天狼星 髙橋 紀美子
冬の空のくっきりみえる星私も大好きです (幸子)
みちのくの眠れぬ熊の爪のあと 佐藤 博子
餌不足の熊たち冬眠も出来ずかわいそう 共存のための人間の知恵がほしいです(美惠)
人里への熊の出没は困った問題だが、そうか、熊にも眠れないという悩みがあるのだと発想の捻りがうまいと思いました。(ゆかり)
熊が眠れないのは食物にありつけないからだろうか?爪あとが鮮明に立ち上がってくる(律子)
史子、志昴女、香誉子
俊太郎の嚏に宇宙ふくらみて 髙橋 紀美子
俊太郎の詩の世界が俳句になった。見事です。(肇)
真弓
天地の小さき喝采クロッカス 森山 ユリ子
読み手においても中七に喝采。(温子)
小さき命に大いなるものの小さな祝福(敏晴)
広大な庭園で、紫の群生を見たことがあります。まさに喝采の感あり。(博子)
楪や飛行機嫌ひは息子にも 井上 澄江
妻の見た夫と息子の関係か。思わぬ類似に驚いている様子。(純夫)
水仙の庭に消えゆく尻尾かな 野口 日記
庭に消えゆく尻尾~この妙味は犬が一役買っているのか。(伊葉)
水切りに立ち上りゆく寒の芹 日根 美惠
百り子
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