天為ネット句会報2026年1月
※特選句、入選句内の順番は互選点、句稿番号の順。
また互選句は句稿番号順に並べております。
生国は雪積むところこけし笑む 小栗 百り子
雪国生まれの作者。雪の降る季節になると故郷の雪の積もる光景がなつかしく思い出されるのであろう。その思い出には「こけし」も登場する。東北地方の郷土玩具として生まれた「こけし」。下五で笑むこけしの顔に焦点を当て、印象に残る句となった(傳)。
南国育ちの者には憧れ(眞五)
お国はどちらでしょう?北国でしょうか?こけしの笑みに心温まり、こちらも笑顔になりそうです。今年も雪がたくさん降っていますか?(敏)
雪国をこんなにも素敵に (幸子)
雪深い東北地方の方ですね、可愛いこけしの微笑みが温かく景の良く分かる句だと思いました。(孝子)
こけしは元来は子どもの玩具ですが、雪国の人々を見守る神仏の像のようにも思えます。(春野)
お生まれは”こけし”で有名な北国。「こけし笑む」で望郷と誇りが感じられる(憲史)
朋子、夏江、楓、はま子、玲奈
居眠りのコアラと年を惜しみけり 中川 雅司
歳末に動物園を訪れたのであろう。樹上で居眠りをするコアラを見ながら、この一年のことを考え、去りゆく年を惜しんでいるというのである。「年惜しむ」という季語の句に詠み込まれたコアラには意外性があり、面白い。コアラは一日のうち十八時間から二十時間ほどは眠っているという。コアラの食べるユーカリの葉は栄養価が低く、消化にたくさんの時間とエネルギーを使うため活動を最小限の抑える必要があるのがその理由だという(傳)。
居眠りのコアラって介護為さっていらっしゃるご家族のことかな?って思いました。優しい視線ですね。お大事に!(早・恵美子)
香誉子
冬ぬくし卒寿九人の同期会 荒川 勢津子
季語がもたらす和みの深さ。(孝雄)
寒いはずの冬があたたかい。戦前から生きて戦中をくぐり、戦後の復興に努めた810人力の笑顔が見える。(茂喜)
いろいろあっただろう 90年の人生を、今は穏やかな気持ちで過ごしている。”冬ぬくし”の季語がいいですね(智子)
那智子、澄江
晩学の徒の布鞄日脚伸ぶ 中村 光男
大きな布鞄から部厚い本を取り出して読んでいる老人がひとり、寺へ昇る階段に座す。若き力よよみがえれ。(茂喜)
布カバンの白さが際立ってます。(誠治)
「布鞄」が効いて季語との取り合わせが相応しいです。(相・恵美子)
日脚伸ぶ、で目の先には明るさがみえます。(伊葉)
八方に修羅を残して去年今年 鳩 泰一
新年早々、ベネズエラも。。。新たなる帝国主義の時代が始まったようです。(誠治)
同感、世界平和は遠ざかるばかり。ふみ
志昴女、真弓
朝空に残る月あり花八つ手 荒木 那智子
花八っ手と朝空に残る月を詠んだ句美しい景色(芳彦)
朝空に残る淡く白い月と、花八つ手の控えめな白い花が呼応する。(ユリ子)
澄江
底冷えや屋根に構へる鍾馗さま 荒木 那智子
一番冷え込む時も屋根に構える鍾馗さまのお陰で風邪ひとつひかず過ごせるといいですね(律子)
三枝子
アトリエの出窓に白き破魔矢かな 熊谷 佳久子
陽子
横たはるフジタの女外は雪 芥 ゆかり
「ふじたの白」で描かれた豊満な女性の裸像。外は雪が効いてます。玲子
冴え冴えと島の茅屋の能舞台 斎川 玲奈
佐渡島の光景か?(眞五)
石像の眼元の窪み山眠る 竹田 正明
山懐の寝釈迦みたいな作品が有ったのかもしれません。(順一)
山門に庫裡にほのかに雪蛍 中島 敏晴
「ほのかに」の修辞が味わい深い。(孝雄)
歳晩のからくり時計見る銀座 鈴木 楓
歳晩のあわただしさの中、からくり時計を見ている余裕が面白い。(ユリ子)
屠蘇祝ふ金の蒔絵の江戸の杯 明隅 礼子
函館は光の海やクリスマス 小栗 百り子
行年や橋の焦げ跡八十年 石川 由紀子
鷹の舞ふ青空深き初景色 佐藤 博子
小夜時雨岩手の里の童唄 山根 眞五
優しい世界が浮かびます(美穂)
東北らしいですね(みつ子)
屑籠の金銀溢れ聖夜満つ 長岡 ふみ
聖なる夜が満ちた時に屑籠に着目した視点の巧みさ(敏晴)
立哉
ひらがなの手紙賜る小六月 嶋田 夏江
どなたからの手紙でしょうか?幼い子?それとも日本語を習いはじめた大人でしょうか?なぜ小六に届いたのかも気になります。(敏)
お孫さんからのお手紙?心も温まった事でしょう。 ふみ
冬港客船の発つ横光忌 土屋 尚
12月30日の横光忌。苗字が忌日名なのは三島忌が有るが、横光忌に客船が発つ事に何か象徴的な意義、意味を感じました。(順一)
那智子
家は人四の五の言はず大掃除 早川 恵美子
中七が効いています。不平を言わず懸命に大掃除をしている様子が素晴らしいです。(相・恵美子)
三枝子
賑やかに父祖の地寺の煤払 嶋田 夏江
参集した、父方一族の雰囲気は粛々ではなく賑やかに。煤払いも楽しさの中で終わる。(博子)
純夫
霜の花ハローワークへつづく道 中村 光男
厳しい朝の寒さだが、「花道」の先には良い働き口が得られそう。(肇)
三枝子
二次元の子も頬赤し絵双六 児島 春野
アニメなどに興味がある子ならまだ、絵双六には入りやすそうですね。三次元の人は難しいかな?楽しそうで、しかも真剣な子どもたちの姿が浮かびます。(敏)
子の成長が二次元期(2~3歳)を迎えて、絵双六などにも興味を持つようになった喜びをうまく一句にされましたね。(哲雄)
冬菊を供へ一日を託しけり 荒川 勢津子
礼子
戦争の滞留納豆かき混ぜる 木村 史子
ロシヤのウクライナ侵攻、イスラエル軍のガザ地区攻撃,いつまで続くのだろうか いらいらする(勢津子)
戦争の滞留と納豆をかき混ぜどんどんねばっていく様が何となく通じるような、面白い取り合わせだと思いました(律子)
年用意器ばかりが家を占め 内村 恭子
あれこれ整えて淡々と新年の準備に入るそんななか新年らしき絵柄の食器や椀皿で気分もひきしまります。(伊葉)
おせち料理には、どうしてもお重・皿・鉢など普段は出さない器が必要ですね。卓上が賑やかになるのもいいものです。(哲雄)
我が家もおよそ 40年前は盆暮には三世代の家族が勢揃い。母が幾種類もの食器類を揃えていた。今は陳列棚である(憲史)
雅司、博嗣、尚
猫の貌くるくる拭いて煤払 西脇 はま子
猫の貌を拭いて煤払いという取り合わせの感性が面白い。(桂一)
大掃除のついでに愛猫の貌も拭ってあげる。「くるくる」に愛情を感じる。(ゆかり)
猫も煤祓いをするという発想がおもしろいです!(春野)
招き猫さんの。着眼が面白いです!(早・恵美子)
雅司、道代、香誉子
晴着の子抱いて石段金毘羅宮 原 道代
日記
冬ざくら善財童子の祈りかな 佐藤 博子
文殊菩薩のお供をしていて悟りを求める姿と冬桜が近く感じられる。(博美)
従兄弟へと古着に玩具年の暮 山本 純夫
仲の良い姉妹で、家がわりと近いのでしょうね。正規
スーパーのカート名残りの空の下 森野 美穂
尚
冬薔薇に抱かれて虹の橋渡る 冨士原 博美
ペットの最終シーン 飼い主の思いのこもる冬薔薇です(久丹子)
道代
温もりを中に閉じ込め冬木立 井上 澄江
寒々とした景色の中で感じ取った冬木立の内に秘められた命の温もりを上五中七で的確に描いている。(博行)
陽子、正明
アメ横の匂ひ混沌冬あたたか 相沢 恵美子
由紀子、恭子
歳暮鮭一年振りの出刃包丁 児島 春野
ここぞという出刃包丁の存在感は鮭に勝りました(久丹子)
朝風呂の皆で手を打つ初日の出 齋藤 みつ子
紀美子
一行の歌記すのみ賀状書く 土屋 香誉子
今時は印刷かパソコンの賀状、そんな時一句添えられた賀状、素晴らしいです。(孝子)
賀状仕舞いさせて頂いている私だが、作者は律儀にも続けられている。自筆の歌を一行添えて、頭が下がります(憲史)
一行に託す思いとはどんなものだったのでしょう(律子)
史子、玲奈、礼子
地吹雪や輓曳競馬の力瘤 山根 眞五
下五の「力瘤」が、輓曳競馬のすべてを語っています。(哲雄)
下五が効いています。地吹雪に耐えている輓曳競馬の様子を上手く詠まれています。(相・恵美子)
由紀子
大皿に鶴が二羽をり大旦 内村 恭子
「をり」の効果か、鶴に動きが加わった。今し方飛来し羽を休めているつがいのよう。季語が句を引き締めている。(ゆかり)
鬼柚子の睨みきかせて冬に入る 熊谷 幸子
百り子、紀美子
万治仏でんと構へて冬うらら 宮川 陽子
下諏訪の春宮の少し奥に、何ともユーモアな石仏があります。陽があたるとさらにほんわか。正規
春野
忘れたきことはなくても年忘 金子 肇
夏江
揺れやみしこずえが零すしずり雪 日根 美惠
正明
しげしげとQRコードを冬の蝿 金山 哲雄
QRコードと冬の蝿の取合せが最高です。しげしげ、も蝿らしくて良いと思いました(美穂)
由紀子
一ピース足りぬジグソー年詰まる 佐藤 律子
何かひとつやり残したような年の暮れの感慨。(泰一)
季語からも一つ足らないという緊張感が伝わる(百り子)
一行に重い日もあり日記果つ 鳩 泰一
様々なことが起きた一年 新しい年は「はれの日」の一行が増えることを祈りつつ(美惠)
日記を読み返し一年を振り返り、たった一行に込められた出来事の意味や思いの重さを噛みしめる。(博行)
語り足りないままの親友との別れ‥‥‥一年は短い.光陰流水の如し(勢津子)
朋子、陽子、真弓、香誉子、はま子
病棟を行きかふ白衣除夜の鐘 芥 ゆかり
大晦日の一コマ。心に沁みる句。(孝雄)
世の中には、年末も年始もない職業がある(眞五)
ここだけは常と変わらぬ様子、意味が奥深いです。(伊葉)
入院ですね、忙しそうに行きかう看護師さんの有り難うの気持ちが除夜の鐘に出ていると思いました。(孝子)
ダマスクの香り極めり冬薔薇 日根 美惠
みつ子
経本の面の擦れや冬灯 中島 敏晴
志昴女
冬旱鳥餌一撒き石の上 山本 純夫
篤志家か、愛鳥家か、誰かが石の上に鳥の餌を置く。そんな情景を見れば、冬旱の青空を見て、鳥を連想したのかもしれません。(順一)
右利きと思ふ
面白い気づき。タラバガニを食べる機会があったら見てみたい。(肇)
鋏を見てこれは右利きとカニを観察する作者のお人柄がみえてくる句といただきました 余慶
紀美子、恭子、はま子
大寒や紅殻褪せし郭格子 阿部 朋子
志昴女、純夫
ひとひらの雲湧き消ゆる去年今年 鹿志村 余慶
正明
子育ての終へたるやうな冬田かな 熊谷 幸子
全ての作業を終え静寂となった冬田と子育てを終えた人生の絶妙な関係(敏晴)
面白い見立て。安堵の気持ちと寂しさは子育てに通じる。(肇)
一仕事を終えた冬田を「子育ての終へたるやうな」と言ったところが面白い。(泰一)
立哉、日記
痛みにもやさしき呪文帰り花 木村 史子
やさしき呪文が聞くか聞かないか気になるところが面白い。(桂一)
鮟鱇鍋これが最後の同期会 金山 哲雄
鮟鱇鍋がぴったり。色々な顔がうかぶ。最後の同期会にふさわしい雰囲気が伝わった。(佳久子)
鮟鱇は部位により形も歯触りもさまざま 出席者の人生もおそらく部位同様 最後の会に相応しい鍋でした(久丹子)
道代
摩訶不思議白味噌仕立餡雑煮 合田 智子
甘い白味噌にさらに甘い餡餅仕立て。お餅を食べた瞬間の、摩訶不思議とは言い得て妙です。(博子)
恭子
コトコトと黒豆煮てる小晦日 原 道代
ゆっくりと時間をかけての煮豆の美味しいこと(智子)
山風は野にすべり来て野紺菊 妹尾 茂喜
中七が好きです。 (幸子)
中七の「すべり来て」が成功しているといただきました 余慶
楓
古日記友との会話細々と 土屋 香誉子
礼子
ラ・フランス到来二十ラララララ 森山 ユリ子
二十個もね届いたら、歌うしかないですね。正規
新しい感じ。ラララララが楽しそう、うれしそう(百り子)
宝塚のフィナーレのような一句。思い切った飛躍に惹かれました。(博子)
淡き陽へ背伸びしている枯尾花 染葉 三枝子
尾花もだんだん伸びて来る様子がよくわかります(みつ子)
歳用意の観音堂より土地言葉 岡崎 志昴女
湖東観音の里はそれぞれの観音堂を土地の方たちがお守りされていて、土地言葉でのご説明が心に響きました。新年を迎える御身ぬぐいも皆さんで…有難いこと(美惠)
なんとなくほっこりする。(博美)
平素は無人の観音堂。氏神様でもあり初詣の準備をする長老たちの方言混じりの語らいが賑やか(勢津子)
玲子、那智子
葉ぼたんの内の渦へと山日入る 河野 伊葉
大きな山日が葉ぼたんの内側の細部へと向かう視線(敏晴)
幻想的な景が浮かびました(美穂)
玲子
飛騨染の色の極むる寒晒し 松山 芳彦
雪の積もった高山の町に色鮮やかな反物が干される風景が鮮やかに(美惠)
楓
優勝の現となるや初鴉 福田 誠治
尚
将軍の池を宿りの浮寝鳥 上脇 立哉
将軍に守られているような。浮寝鳥は安心して。(佳久子)
将軍という言葉と水に浮かんで眠り、のんびりしている印象の浮寝鳥との対比が楽しい。 真弓
観音の水瓶蒼く寒の水 河野 伊葉
百済観音か。仏教の慈悲の精神を人格化した観音と透徹し薬にもなるとされる寒の水が響き合う。(博行)
蒼と寒の水が響き合ってます(早・恵美子)
芳彦
障子干す桟美しき古刹かな 須田 真弓
洗われて桟だけとなって干されている障子。古き禅寺の冬近い作務であろうか。桟の作る影も清々しい。(ゆかり)
何畳分の障子でしょうか見事でしようね (幸子)
冬を迎える古刹の静謐な空気感がある。(泰一)
白菜の持て余したる太り肉 冨士原 博美
なんとも、、、、、(誠治)
雅司
健筆の妣の字滲む祝箸 合田 憲史
健筆であったお婆さんの字が祝箸に滲んでいるという思いを読んだのか(芳彦)
祝箸をだすお正月。亡くなった母上の字を見るたびに、作ってくれたお料理のあれこれも懐かしく思いだして。(佳久子)
玲奈
寺田屋の維新の井戸や寒椿 須田 真弓
寺田屋事件と向き合っているところに歴史を感じる。(桂一)
張り詰めた気配と寒椿の厳しさが通じ合う。(博美)
立哉、日記
小豆餅若衆の居ぬ三が日 永井 玲子
老いひとりの三が日、小豆粥にて楽しむ景がほっこり見えます。余慶
お元気?の言葉の弾む初便り 佐藤 律子
年賀状の一筆の添書きは嬉しいものです(智子)
元朝や父の剣舞に始まれリ 髙橋 紀美子
貴殿の父上には幼いころから剣道と剣舞の素養がおありなのだ。御家族そろって拍手を送る景が感動的だ。(茂喜)
お父様の舞姿ばかりか御家族一同の様子まで淑気に満ちている。ふみ 淑気あふれる元朝ですね。「剣の舞」を舞われる父上様、すばらしいです。(ユリ子)
短日やことりと膝の蝶番 西脇 はま子
史子、博嗣
みなしごの熊の空腹木守柿 染葉 三枝子
自然界と人間の共生難しいところですが、すべての命がいとほしい(夏江)
純夫
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