天為インターネット句会吟行 2024年11月  

ネット句会吟行 第15回 飛鳥・奥明日香・今井町(前日:聖林寺)句会報

 ボタン 11月2日(土) 曇のち豪雨   集 合:近鉄・大和八木駅:10:50         佐藤博子 文責
                  吟行地:飛鳥寺・岡寺・奥明日香(マイクロバス利用)
                  昼 食:めんどや
                  句会場:大和橿原シティホテル・会議室・3日(日) 

福永 法弘先生をお迎えして

  参加者 : 芥 ゆかり、内村恭子、鈴木 楓、中川手鞠、榑林匠子、相沢恵美子
        斎川玲奈、山本純夫、河野伊葉、日根美惠、冨士原博美、てつお、鳩 泰一
  句会報 : 金子 肇 
  幹 事 : 佐藤律子・佐藤博子 
  句 会 : 投句・・5句 選句・・7句


飛鳥大仏
飛鳥大仏
岡寺
雨に煙る岡寺
  撮影:金子 肇
  ネット句会吟行第十五回 飛鳥・奥明日香・今井町 

 十一月二日(土)10:50、近鉄大和八木駅に一行十七名が集合。コースは、飛鳥寺、飛鳥坐神社、飛鳥宮跡、岡寺、男綱、日本一名前の長い神社「飛鳥川上坐宇須多岐比売命神社」、稲渕から栢森の村道散策、女綱である。

 接近中の台風二十一号が低気圧に変わり、台湾海峡を北上して二日(土曜)の飛鳥は豪雨の予報。当日朝は小雨、マイクロバス利用なので何とかなるだろうと飛鳥に向かう。「強風であれば中止」と思うと、先生をはじめ皆の強運に感謝である。

 飛鳥寺で日本最古の仏像を拝観している頃は、小降りだった雨が、昼食後の岡寺では 雷をともなう豪雨となった。反面、観光客が少ないせいもあって塑造の如意輪観世音菩薩、金銅の半跏思惟像など心ゆくまで拝むことが出来た。岡寺を出発し、奥明日香へ。

 飛鳥川に張られた結界の男綱は雨に濡れ、飛鳥川は泥水の奔流となっていた。村道散策、急段の神社や女綱は残念ながら車窓からとなり、急遽キトラ古墳へと向かう。屋根のある四神館で、石室や四神、天文図の精巧なレプリカに詩心を遊ばせ、句の種を沢山拾えたことと思う。願っても二度と経験出来ないような吟行となった。

 翌三日は昨日の雨が嘘のような秋晴れ。環濠に囲まれた商人の町、今井町を吟行。ランチの予約をしていた中華屋 炫(げん)より車に突っ込まれ休業という連絡をうけていたので、各自の昼食となった。身近でのハプニングに驚いたが人身事故でなく何よりであった。午後1時~4時までの句会。

 各自披講の後、福永法弘先生より特選句並選句に選評を頂いた。特に俳句のもつ挨拶性を強調された。                    (金子 肇 記)


 

飛鳥宮跡
                   飛鳥宮跡 画像提供:飛鳥観光協会

◆飛鳥観光協会   https://www.asukakyo.jp/
飛鳥と明日香の表記について  

 貸切バスの利用、懇親会の試みを福永先生にお伺いすると快諾下さったうえ、3日間ご一緒して頂きました。懇親会では先生ご在住の京都のお話や俳句、ちょこっと政治談義やら四方山話やら・・・。また、吟行も句会も初めてというお二人の参加に活力を頂きました。悠久の奈良の時間の流れに癒やされ、俳縁の広がる俳句の世界に浸った感慨深い3日間でした。
またネット句会でお会いしましょう。(幹事:律子・博子)

 URLのリンクや写真・資料のご提供を快く了承下さった、お寺様・関係各所の皆さまに厚く御礼申し上げます。

   福永 法弘作品

首塚より枯れは宇宙へ拡がれり
初しぐれ男綱女綱を濡らしけり
ジオラマの環濠碧し鳥渡る
落葉籠飛鳥の世よりここにあり
まるさんかしかくおでんも首塚も

 


 参加者二句(順不同)   
  芥 ゆかり
   甘樫丘の低さや秋深む  
   飛鳥大仏坐り続けて星流れ
斎川 玲奈
   神代より寸土を惜しみ豊の秋
   毘沙門の木目あらはや稲ひかり
 
  内村 恭子
   草雲雀太子の汲みし蘇武の井戸
   柿たわわ宗徒の町の細格子
中川 手鞠
   冬の星キトラ古墳に天文図
   岡寺に厄除け菩薩冬の雷 
 
  鈴木 楓
   沛然の雨の岡寺秋寂びぬ
   鷹渡る空へ蹴鞠の明日香人
河野 伊葉
   みほとけは秋水の音のなかにあり
   残瀬にもかがやく小春飛鳥川
 
 

榑林 匠子 
   石室の真白き宇宙素風かな
   行く秋やこゑ良き鳥の伊勢街道

日根 美惠
   時雨るるや飛鳥いづくも神さびて
   入鹿の怒飛鳥に冬の雷と雨
 
  相沢 恵美子
   秋爽や木目流るる太柱  
   秋日和おとがひ美しき菩薩像
冨士原 博美
   明日香村に篠つく雨や神の留守 
   二面石風にたゆたふ枯尾花
 
  山本 純夫
   秋懐や蘇我氏贔屓の案内人 
   残る虫飛鳥の宮の石の道
鳩 泰一(泰山木改め)
  秋しぐれ傷もて在はす釈迦如来
  町屋からカフェと替りて文化の日
  金子 肇
  天網は疎にして漏らす秋の雨
  まほろばの明日香の里の櫓かな
てつお
   岡寺に句帖も濡れて秋時雨
   心馳す蘇我物部や文化の日
 
  佐藤 律子
  龍玉や願ひ閉ぢ込む冬の雨 
  石室の天に鏤む寒北斗
佐藤 博子
  秋霜や飛鳥に封ず悪しき龍
  秋日傘ちらちら今井寺内町
  以上

   

選評句


飛鳥路旅の味セット
飛鳥路旅の味セット       
 画像提供: めんどや

女綱
女綱
今井町煙出し
   今井町煙出し   
   撮影3点:金子肇
今井まちなみ交流センター
今井まちなみ交流センター
 「華甍」

聖林寺
観音の指
画像提供:聖林寺
    11月1日(金)桜井・聖林寺吟行(有志)句会報  

 昨年の郡山城址・法隆寺での吟行から一年ぶりの古都奈良での吟行です。

 総勢14名、近鉄・JR桜井駅:午後12時40分集合、50分発のバスにて、福永先生ご推薦の奈良観光の穴場「十一面観音」 の御座す聖林寺へ。

 奈良時代創建聖林寺のご本尊、子安延命地蔵菩薩大石仏像が本堂におわします。観音堂の国宝「十一面観音」は平安時代に造像されたもので、大神神社神宮寺のご本尊でした。明治の廃仏毀釈の嵐の中、本像は聖林寺に移され難を逃れました。

 均整の取れた量感のある姿、衣のカーブ、指の表情、この観音様は福永先生のおっしゃるまさに「美男仏」。この十一面観音立像の気高さ美しいお姿に、和辻哲郎や土門拳、白洲正子が心酔したといいます。

 お庭の中の離れ家にお茶席で、お抹茶と大三輪銘菓の「みむろ最中」でいっぷく。午後4時に桜井駅に到着してしばし休息。5時に先生お勧めの懇親会会場「浜鮨」再集合。年に一度の楽しい時間を過ごしました。 

(日根 美惠記)

     ◆聖林寺トップページ
       https://www.shorinji-temple.jp/    
     ◆聖林寺について(歴史)
       https://www.shorinji-temple.jp/about/history/


 

  福永 法弘作品

秋麗や息呑むほどの美男仏

行く秋に愁ひを深め観世音

秋思深し祈るだけでは来ぬ平和

曼荼羅の絵解き楽しや末の秋

秋の蚊に結界越えし手を刺さる

聖林寺
画像提供:聖林寺


選評句   

聖林寺
 


  

聖林寺 撮影:佐藤博子

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